家づくりは工業製品ではなく、「職人による究極のものづくり」だと考えていたため、ハウスメーカーは候補に入れず、地域の工務店のみを検討しました。木の素材感が感じられること、焼杉外壁、瓦屋根、ウッドデッキ、大きな引き込み窓、吹き抜け、1-2階にまたがる大本棚、薪ストーブ、古建具など、やりたいことがいくつもあったため、同じ条件で複数の工務店に見積もりを依頼しました。
最初に出てきた見積もりだけを見ると、神奈川エコハウスは最も高額でした。ただ、ドアに使われる材や屋根裏の仕上げ、床材、内装の仕上げ材(壁・天井の素材)など、細かい仕様を各社で揃えて比較していくと、最終的には他の工務店とほぼ同額、場合によっては下回る金額になることが分かりました。この時点で、費用面での大きなデメリットはなくなりました。
一方で、仕様を細かく比較する中で、素人である施主が見落としてしまうポイントは必ずあるということにも気づきました。そのため、施主と建築士の間で「どんな家を良い家と考えるのか」という価値観が共有されていないと、「こんなはずじゃなかった」というズレが生まれてしまうのではないかと感じました。
担当してくださった建築士・岸さんの著書を事前に読んでおり、設計において何を大切にされているのか、その考え方に私たち夫婦が共感できたことも大きな決め手でした。細かい部分はすべて自分たちで決めるのではなく、「ここはお任せしよう」と思えたことは、家づくりを進める上でとても大きかったです。とはいえ、間取りに関してはほぼ私たちの要望通りに作ってもらったので、もう少し全体のバランスを岸さんに考えてもらっても良かったかもしれない、とも思います。
良い家、要望通りの家をつくることはもちろん大切ですが、家づくりは人生の中でも非常に面白いプロジェクトだと思っています。そのプロセスを一緒に面白がりながら取り組んでくれる人たちかどうかという点も大切にしていました。実際に、私たちの要望を面白がりながら検討してもらい、バランスの取れた設計にしてもらえたと感じています。
実際に住んでみて良い意味で想像と違ったのは、冬場の暖かさです。真冬でも暖房を入れていない状態で玄関のドアを開けて一歩入ると、はっきりと暖かさを感じます。薪ストーブをつけると家全体が一気に温まり、真冬でも半袖で過ごせるほどです。家の快適性が大きく向上したように感じます。一方で、床下エアコンは、朝起きて少し寒いと感じたタイミングでつけても、すぐに暖かくなる印象はありませんでした。これは薪ストーブの暖かさに慣れてしまった影響もあるかもしれません。
また、「どこにいても人の存在が感じられる家」にしたため、2階にいても音がよく伝わる設計にしています。小さな子どもが2人いる我が家にとっては狙い通りでしたが、大人が静かに読書や仕事をしたいときには、音が思った以上に響くと感じる場面もありました。結果的に、将来の子ども部屋を親の仕事・勉強部屋として使っています。
今振り返ると、こもれる空間を一部でも設けておけば良かったと感じています。ほぼすべての扉を引き戸にしたため、トイレを含めて音が漏れやすいこと、また元気盛りの子供達が引き戸を閉めると強く柱に当たってしまったり隙間が開いてしまうこともあり、少し想定外でした。金物を使ったソフトクローズの引き戸があることは知っていたので、良し悪しを理解した上で決めておけば良かったと感じています。後日岸さんともお話をして、意匠性も含めてソフトクローズにすることの特徴をお伺いできましたので、気になる方はぜひお尋ねいただければと思います。
木の意匠性や素材感が好きな方であれば、まず相談先の一つとして神奈川エコハウスを候補に入れることをおすすめします。その上で、他の工務店とも並行して相談し、比較と対話を通して、自分たちに合った家づくりのパートナーを選ぶのが良いと思います。
様々な工務店と対話を重ねる中で、新しい要望が出てくるのは自然なことだと思います。大きな仕様変更がある場合は、その理由を説明し、誠実にコミュニケーションを取れば、見積もりの回数制限があったとしてもお付き合いいただける工務店も多いと感じました。その結果、お断りする工務店が出てきた場合も、理由を添えてきちんとお断りすることが、施主側のマナーだと思います。
簡易的な要望書をベースにした見積もりだけを見ると、神奈川エコハウスは高額に見えると思います。ただ、細かい仕様まで揃えて比較すると、本当に高いのかどうかは分かりません。金額だけで判断せず、「何が含まれているのか」を丁寧に確認することをおすすめします。
岸さんは著書を出されているので、事前に読んでおくことで、設計思想や価値観を理解することができます。家づくりでは価値観の共有がとても重要なので、可能であればぜひ読んでから相談すると良いと思います。費用や性能はもちろん重要ですが、それに加えて「この人たちとなら家づくりを楽しく進められそうか」「プロフェッショナルとして信頼して任せられそうか」という視点も、ぜひ判断軸に入れてほしいと思います。

