我が家は今年が5年点検であるから、神奈川エコハウスさんを知ってからもう十余年になると思う。
当時、私はロードバイクが趣味で、晴れた週末には境川に沿って下り、藤沢から湘南の海に出て三浦半島を一周していた。
どうやって神奈川エコハウスさんの存在を知ったのか、今となっては定かではないが、湘南海岸の近くにモデルハウスがあるというので、ある日ツーリングの途中に寄ってみた。それから数年の間、3〜4ケ月に一度くらいの割合でお邪魔していた。派手なサイクルジャージを着た親爺が突然やってきて、質問もせずにモデルハウスの中をウロウロして帰っていくのだから、会社にしてみればかなりの不審者であったかもしれない。しかし、従業員の方の温かい対応のおかげでコンセプトハウスの春夏秋冬を知る数少ない建主の一人となることができた。
その頃、私は定年を控えて老後の人生を如何に楽しむべきかに思いを馳せていた。その中では、住み替えも漠然と考えていたと思う。理由は ①子供達が巣立ったこと ②年寄りには庭の手入れが大変になるであろうこと ③夏は暑く冬は寒い家であったこと等々で、当然マンションへの住み替えへの一本道にいた。
ところが、コンセプトハウスを訪れて遠い昔の記憶が一気に蘇ってきた。田舎育ちの私の生家は、よく言えば開放感あふれる作りで、夏は開けっぱなしの掃き出しの窓からの風が家の中にも吹いていた。夏の暑さに抗う術は扇風機しかなかった時代であるが、吹き込んでくる風は夏なりに涼しく、密閉空間における温度調節した涼しさとは全く別物の心地よさがあった。
そんな懐かしい心地よさに惹かれて、なんとはなしに通い続けていたのたが、定年の直前に前立腺の調子が悪く入院することになった。病院のベッドで天井を見ながら、こんな状態が日常になる時がやがて来るのだと思った時に、遠い昔の心地よさの中で余生を過ごしたい、と建て替えを決意した。
体調の回復とともに工務店めぐりを始めたが、自然素材と建築性能にはこだわった。ネットで評判の良い工務店を見つけては、説明会に行ったりお宅訪問に参加したりした。どの工務店のプレゼンも魅力的だったし、お宅訪問の建主さんの感想も大満足というものだった。
建築に関してど素人の私には、住み比べでもしてみないとどの工務店が良いのか分からなかったが、最終的に神奈川エコハウスさんにお願いすることにした。理由は、コンセプトハウスのインパクトは勿論だが、決め手の一番は社員の方々の態度に余裕が感じられたことと、担当頂いた建築士の方が家づくりにこだわりを持っておられたことである。余裕ある態度は品の良さを醸し出すし、こだわりは哲学を生む。
終の棲家を建てるのだから、家ある限り命ある限りお付き合いできるような工務店にお願いしたいと思っていた私にとって、アフターメンテナンスの充実も大いに魅力的だった。設計士の方は勿論、大工の棟梁やインテリアコーディネーターの方、ご紹介頂いた庭師の方にも非常に気持ちの良い仕事をしていただいた。少しお世辞を言えば、このような企業風土を創ってこられた経営陣の方には「あっぱれ」を一つ差し上げたい。
基礎工事の始まる直前、何かの拍子に「埋炭」というものをご紹介いただいた。「炭」に惹かれて施工してもらったが、これがすこぶる調子がいい、・・・ような気がする。何せ、温泉旅館の風呂上がりの布団よりも自宅のシャワー後のリビングの方が心地良い。科学的にその効果が証明されたかどうかは分からないが、体力の低下を日々実感している老人にとっては、「埋炭」がしてあるという事実だけて、その心理的効果は抜群である。
あと何年この家に住み続けられるか分かりませんが、人生で最も身体に負担がかかってくる時期に、正に「自然の恵みを活かす住まい」に出会えたことを、家づくりに携わって頂いた全ての方々に感謝いたします。