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2023.04.11 / よもやま話

父と娘の伊勢・近江巡り1

長女は大学受験が終わると、卒業式の翌週には早速ご褒美旅行に出掛けました。受験前から計画していた行き先は沖縄の宮古島。次女は普通に中学校があるので、私と次女は藤沢に残り、妻と長女だけでの沖縄旅行です。

羨ましがる次女の心を鎮めるため(笑)、春休みには次女の旅行も計画することに。
昨夏にも次女との古都巡りをブログで紹介しましたが、娘との2人旅の始まりは3年半前の夏でした。長女の高校受験で家族旅行を断念した際、当時小学生の次女と2人旅をすることになり、「どこに行こうか?」と聞いたところ、「石川か三重」と答えた話を当時のブログにも書きました。当時のブログはこちら→<父と娘の北陸巡り1>
その時は石川県を選んで、石川県・富山県・岐阜県を巡る3泊4日の旅をしたので、今回はその時に選ばなかった三重県へ行くことにしました。ただし今回は2日しか休めないので、やはり往路は夜行バスを利用して、早朝から観光できるタイムスケジュールを組んだのは言うまでもありません(笑)

バスが伊勢市駅へ到着するのは午前8時の予定でしたが、何と1時間も早く到着。朝食後に宇治山田駅前で予約していたレンタカーを借り、いよいよ「お伊勢参り」のスタートです。

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伊勢神宮は、内宮や外宮など125社が所属する神社で、正式名称は単に「神宮」と言います。その中心である正宮は内宮と外宮の2社で、特に天照大御神(あまてらすおおみかみ)を御祭神とする内宮は、日本各地にある8万社以上の神社の中心として崇敬を集め、神様の聖地と考えられています。

「外宮先祭」という神宮の祭儀の順序に倣って、参拝も「外宮→内宮」の順で行うのが古くからの習わしということで、私たちも先ずは外宮を訪れました。外宮の正式名称は「豊受大神宮(とようけだいじんぐう)」といい、御祭神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)は天照大御神の食事を司る神として丹波の国(兵庫県)から迎えられたとされています。

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駐車場の横にある「北御門口」という裏口から出入りしたので、第一鳥居と第二鳥居を潜り損ねてしまいましたが、明治時代に伊勢市駅ができるまでは、この北御門から入る人が多かったそうなので、江戸時代のお伊勢参りに倣ったということで(笑)

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広い参道の奥に正宮があります。そして正宮の横には、「古殿地」という同じ広さの更地があり、20年ごとに正宮と古殿地が入れ替わります。この式年遷宮の仕組みを示す古殿地こそ、伊勢神宮の象徴です。

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正宮の他に多賀宮、土宮、風宮という3つの別宮があるのですが、いずれも横に古殿地が用意されていて、式年遷宮でこれら全ての建物が建て替えられることが分かります。

その次に訪れたのは猿田彦神社で、内宮の目と鼻の先にあります。

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天孫の邇邇藝命(ににぎのみこと)が、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の神勅を受けて日本の地に天下ったとされる「天孫降臨」という神話。その際に、日本の国土を道案内したのが猿田毘古神(さるたひこのかみ)とされていることから、猿田毘古神は「国土の神」「みちひらきの神」として、地鎮祭にはそのご神徳が讃えられています。

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当社で地鎮祭を行う時は、この猿田彦神社の禰宜(ねぎ)に祭事を執り行ってもらうので、建て主の皆様には聞き覚えのある神社だと思います。その猿田彦神社にもお参りして来ました。

内宮の第2駐車場に車を置いて内宮に向かうと、おはらい町を歩くことになります。

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道の両側には歴史的建造物を含む数多くの飲食店やお土産物屋が並び、賑わいを見せていました。真ん中ぐらいに「赤福」本店があり、早朝から長い列ができています。列には並ばずに写真だけ撮って先へ進みました。

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また、途中にある武家屋敷のような立派な門塀は祭主職舎のもので、桜が綺麗でした。

おはらい町を抜けると、内宮の入口である宇治橋の鳥居が現れます。

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宇治橋を渡る行為は、神の領域に足を踏み入れたような演出で、お伊勢参りの気分を高める効果がありますね。

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橋を渡って広い参道を歩くと、右手に五十鈴川の御手洗場(みたらし)が現れます。内宮には小学生ぐらいの時にも来たことがあるのですが、記憶に残っているのはこの御手洗場だけです(笑)

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内宮の正宮は、日本の八百万の神の中心にあり、皇室の祖神の天照大御神が祀られている場所で、お伊勢参りのハイライトです。基本的には、外玉垣南御門という大外にある門の外から拝むことしかできませんが、地位によって外玉垣の中に入ることが許されます。以前、地元の林業者と一緒に来た時には私も中に入ったことがあります!もちろん私が入れたのは末席でしたが、総理大臣はここまで、天皇陛下はここまでという決まりがあるそうです。


帰りにおはらい横丁にある和菓子店「五十鈴茶屋」で一服。

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私は「和三盆くるり」というロールケーキ、娘は「春の川」「桜香」という和菓子、そして冷やし抹茶をいただきました。

次に訪れたのは、二見輿玉(ふたみおきたま)神社。鳥居を潜ると海岸線に沿って参道があります。

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ここは、海から突き出した高さ9mの男岩と、高さ4mの女岩が並ぶ「夫婦岩」が有名で、猿田彦大神を御祭神に、縁結び、夫婦円満、交通安全などにご利益があるとされています。

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時期も時間帯も違うので今日は見られませんが、夫婦岩の間から日の出を拝む写真がよく知られています。夫婦岩を結ぶ太い綱や岩の上にある鳥居など、滅多に見られない貴重な風景を見ることができました。

その次に訪れたのは、鳥羽にあるミキモト真珠島。ここはミキモトの創業者・御木本幸吉が1893年に世界で初めて真珠養殖に成功した島で、御木本幸吉記念館、博物館、パールショップが建っています。

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博物館には、真珠ができる仕組みや養殖過程、真珠の選別などを解説する展示があって面白かったです。また、一日に何度か海女の潜水実演が行われているので、それも見学しました。海女さんと言えば、海産物を採るのが仕事だと思っていましたが、かつては真珠の養殖にも活躍していたそうです。

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国道とは別に、海岸線に沿って鳥羽~志摩間を結ぶパールロードと呼ばれるドライブウェイがあります。所々に眺めの良い展望台があるのですが、鳥羽寄りにある鳥羽市立海の博物館も見どころです。

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この建物は、木造と鉄筋コンクリート造の混構造になっていて、湾曲集成材の梁が細かいピッチで並ぶ大空間が迫力満点です。設計は建築家・内藤廣さんで、1993年に日本建築学会賞を受賞しました。今回は中には入りませんでした(自分は1994年に訪れている)が、焼杉板の外壁や切妻屋根の外観が、鳥羽の風景に違和感なく溶け込んでいる様が素敵です。

一日目の締めくくりは、横山展望台です。志摩と言えば、小学校の社会科の授業で習った「英虞湾(あごわん)」が有名ですよね。伊勢・志摩に行くからには、娘にこの景色を見せてあげたいと思って来ましたが、春休みで観光客も多く、展望台横の駐車場が満車だったため、坂の下にあるビジターセンターの駐車場に車を置く形になりました。ごつごつした遊歩道を随分長く歩かされましたが・・・

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複雑なリアス海岸を見下ろす展望台からの景色は、まさに絶景。海外線がこれほど絵になる景色も少ないと思います。望遠レンズを使えば、真珠養殖の筏(いかだ)もしっかり捉えられました。

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展望台も綺麗に整備されているので、英虞湾の遠景だけを写すよりも、手前のウッドデッキを入れた写真がより「映え」ますね。

一日目はここまで。明日に備えて亀山市まで移動して1泊しました(つづく)

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岸 未希亜

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