2019年8月4日（日本時間の5日）、ゴルフの全英女子オープンで渋野日向子選手が優勝しました。
連日のようにニュース番組やワイドショーで報道されていますが、大会前はほとんど注目されていなかった渋野選手。女子プロゴルフに詳しい人を除けば、全くのノーマークだったと思います。女子プロゴルフの「黄金世代」については多少知っていた私も、彼女のことは知りませんでした。しかし、昔からテニスやゴルフのメジャートーナメントが大好きな私は、渋野選手のプレーをリアルタイムで見ました！！
先ずは、上位に付けていた3日目のプレー。深夜だったので途中で寝ましたが、翌朝のニュースで首位に浮上したことを知り、「すげー」と感嘆しました。そして最終日もテレビ観戦。途中、米国や韓国の選手にスコアを離された時はダメかなぁと思いましたが、後半のバーディラッシュに釘付けとなり、遂に最終ホールのウイニングパットまで見届けてしまいました。優勝の瞬間は、深夜なのに思わず「やったー」と叫んで拳を突き上げていました（笑）
渋野選手がこれほどマスコミに取り上げられる理由は幾つかあります。まずは、日本勢42年ぶり2人目のメジャー制覇ということ。それを昨夏にプロテストに合格したばかりで、海外試合に初挑戦の20歳が達成したこと。海外メディアからも「スマイリング・シンデレラ」と名付けられた魅力的な笑顔。プレーの合間に駄菓子を食べている姿、その表情にも注目が集まりました。
「笑顔」と「駄菓子」についてはテレビでも取り上げられていますが、ラウンド中にカメラ目線で笑顔を見せたり、試合の合間にあんなにギャラリーと触れ合う光景は過去に例がありません。「海外メジャー制覇」を意識せずに臨んだ1年生の気楽さはあったと思いますが、「普段通り」を貫く姿は頼もしかったですね。
「世界のメジャー大会優勝」と言えば、テニスの全米オープンを制した大坂なおみ選手のことが思い出されます。シングルスでは男女を通じて初の四大大会優勝ということで、本当に大きな話題となり、私も昨年のブログに書きました。
テニスの「4大大会」は全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン選手権、全米オープンの4つで、男女とも同じ場所、同じ時期に開催されます。しかしゴルフのメジャー大会は毎年コースが変わるのに加え（男子マスターズなど例外あり）、男女で大会も異なります。男子ゴルフには、マスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロという歴史の長い四大メジャー大会がありますが、女子ゴルフのメジャー大会は何度も変更されてきました。
先駆者の樋口久子さんが42年前に優勝したのは、1977年の全米女子プロ選手権で、当時のメジャーは全米女子オープンと2つだけでした（1972年以前は4大会）。その後、デュモーリエクラシック、ナビスコ・ダイナ・ショアが加わって4大会に戻り、2001年からはナビスコ・ダイナ・ショアがクラフト・ナビスコ選手権に替わり、デュモーリエクラシックが全英女子オープンに替わりました。
ちなみに全英女子オープンがメジャー昇格する前の1984年、あの岡本綾子さんが全英女子オープンで優勝しています。しかも開催したゴルフ場は今年と同じ、ウォーバンゴルフ＆カントリークラブ。これは運命の悪戯でしょうか。
2013年からは、クラフト・ナビスコ選手権がANAインスピレーションに替わり、エビアン選手権が新たに加わってメジャー大会は5つになっていますが、日本人は42年間はね返され続けました。岡本綾子、小林浩美、不動裕理、宮里藍、宮里美香、そして昨年の畑岡奈紗まで。
それを突き破った渋野選手の活躍を見て、ゴルフ漫画「あした天気になあれ」を思い出しました。この漫画は、中学卒業後にプロテストに合格した主人公が、初出場した国内のトーナメントで優勝を飾り、続くマッチプレー選手権にも勝って国内2勝を挙げた後、予選会から出場した全英オープンで世界の強豪と渡り合い、日本人初優勝を果たす物語です。
作者は「あしたのジョー」「おれは鉄平」などで知られる、漫画家のちばてつや。子供の頃に漫画を買ってもらえなかった私が、中学生になって自分のこづかいで買うようになった漫画で、ゴルフをやらない私がゴルフに詳しいのは、ゴルフのテレビ中継とこの漫画のお陰です（笑）
当時、出来過ぎたストーリーなのも漫画だから仕方がない、と思って読んでいましたが、プロになって国内で2勝、プロデビューから1年で海外メジャーに挑戦して優勝という流れが、驚くほど渋野選手と重なるのです。ちばてつや先生もきっと驚いているに違いありません。
岸 未希亜
