7月に「歴史研の静岡ツアー」というブログを書きましたが、今回は大学の同期同窓会に顔を出した時のお話です。1994年3月の大学卒業からもう30年が経過しました。
大学の同期と言っても、理工学部建築学科の同期は約180人。その中で顔見知りなのは一般教養の授業が一緒とか、製図の授業で席が近くなる名簿順が近い人とか、研究室が同じ人などに限られます。名前と顔は知っていても半分以上の人とは話したことがありません。
私は大学院にも2年通ったので、研究室の仲間や他研究室の一部の友人とは、卒業後も会ったり年賀状をやり取りしていますが、それ以外だと顔見知りだった人でも消息を知りません。
会場は高田馬場駅に近いカフェの3階を貸し切って、約60人の同期が集まりました。研究室の友人と高田馬場駅で待ち合わせしたので不安なく会場入りできましたが(笑)、28年ぶりの再会が幾つかあって挨拶を交わしたり、近況を確認したりしました。
同窓会は幹事の人が色々と企画をしてくれていて、指名された人の「近況ご報告タイム」や欠席者からのメッセージ紹介、稲門建築会という同窓会組織の活動報告など、スライドを交えて発表がありました。
そして同期の中でただ一人、今年の4月から早稲田大学創造理工学部建築学科教授になった田中智之君が皆の前で挨拶をしました。他大学の先生や非常勤講師をしているOBは多くいますが、母校の教授にはなかなかなれるものではありません。彼は学生時代、誰も真似のできない緻密なドローイングを描き、設計課題の授業ではいつも前で発表して先生方から講評されるような優秀な学生でした。同期の誰もが名前を知っているような人物で、後ろの方から傍観していた私とは、さらにサッカーの練習で授業を途中で抜けていたような私とは別世界の人でした(笑)
3時間の会も半分ぐらい過ぎた所でゲーム大会が行われました。参加者全員にトランプが1枚ずつ配られ、親役の人が持つカードよりも強いカードを持っている人は「当たり」という単純なゲームです。
1番から10番ぐらいまで「当たり」の商品が用意されていて、何がもらえるのかと思ったら、同級生が書いた本でした。1番目の商品は当日欠席していた同期生が書いた本で、「いらねーよ」という突っ込みがあったりして会場は笑いに包まれました。
そして4番目に紹介されたのがこの本です。事前に知らされていなかったので「えっ俺の?」とびっくり。この本は在庫が少ない状態で、Amazonで購入したら2日前に長崎県の本屋から送られて来たそうです。
司会者に促されて自己紹介と本の紹介をしました。前述のように半分以上は話したことがなく、顔見知りでも私が何をしているか知らない人もいるので、神奈川エコハウスという工務店で住宅設計をしていること、吉田桂二という建築家の下で学んだこと、その縁で本を書く機会を得たことなどを話し、拙著「最高にわかりやすい住宅の間取り教室」のこともアピールできました。
続けて当選者が発表されたのですが、それが何と早大教授に就任した田中君で二度びっくり。「勉強させていただきます」と言われて恐縮しました(笑)
学生時代は一度も話したことのない田中君と名刺を交換して少し話しました。「工務店で木造住宅をつくる」という仕事に関心を持ってもらい、学生と接する中で話題にしてくれたら来た甲斐があったというものです。
プレゼンターを務めた直後、今度は自分のカードが「当たり」となって、逆にプレゼントをいただきました。同期の北川さんが翻訳した「プロジェクト・アウトノミア(自律運動)―戦後期イタリアに交錯した政治性と建築」という難しい本です。「きくち、きし、きたがわ」という名簿順だったので北川さんとは顔見知り。都内で設計事務所を主催している北川さんとも名刺を交換しました。
もう一つのゲームは1人100円ずつ持ってのじゃんけん大会。先ずは隣の人とじゃんけん。勝った人は100円をもらって勝った人どうしでじゃんけん。これを繰り返していく訳ですが、この日は調子が良くて決勝の3人に残ってしまい、最後は2人がパーを出して自分はチョキだったので独り勝ちしました(笑)
会費を取り返しただけにとどまらず、思いがけず目立ってしまった同期同窓会でした。
岸 未希亜