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2020.09.11 / 建築と住まいの話

完成事例「逗子の家」

8月に撮影した完成事例の第二弾が「逗子の家」です。
この家が完成したのは、新型コロナウイルス対策として緊急事態宣言が発令されていた4月下旬だったので、ブログでは見学会の告知をせず、検討中のお客様にだけ声を掛けてひっそり見学会を行いました。

逗子の敷地は非常に個性的でした。間口の狭い旗竿敷地になっていて、その先は扇形に広がっています。東側と南側は同時に分譲された宅地ですが、敷地の北側に公園があり、西側は緑に覆われた山裾が迫っています。北西面は敷地境界に沿って小川が流れており、敷地の形も自然にカーブしていました。

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一般的には建物を北に寄せて南を空けたいので、北側が変形している敷地は良くありません。北に寄せると平面が階段状にガタガタしてしまいますし、敷地中央にほど良い四角形を入れたとしても南の庭は狭くなり、明るさも視界の広がりも中途半端になってしまいます。

この敷地を前にした多くの人は、「南側や東側に建つ家を見ながら暮らすより、北西側の眺めを生かした家にしたい」と思うでしょう。「でも北向きの家で本当に大丈夫なのか・・・」その点は建て主も心配されていて、土地を購入する前から相談を受けました。
確かに「南を捨てる」のは勇気が要りますが、この周辺環境であれば、そしてひと工夫することによって、北向きの家でも十分に気持ちよく暮らせると考えて、この家を設計しました。

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まずは敷地の南東角を起点に、南と東の隣地境界に沿って建物を延ばします。そうすると、L型の平面で扇形の庭を囲み、北西に開く形ができます。南側が背中になる格好で、1階では玄関やパントリー、2階では寝室の他に浴室やトイレも南側に配置しました。普通の敷地では考えられません(笑)
板壁と塗り壁を織り交ぜた外壁に表情があるので「裏側」という感じはしませんが、箱のような形で開口部も小さめなため、どこか閉じた印象を与えます。

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この家を訪れた人は、南側のあの外観を見て、この眺めと解放感を想像できないと思うので、室内に入って「おっ」と驚くはずです。景色のことを期待させないように導き、そして「裏切る」ところを面白がってみました(笑)
明るさに関するひと工夫は、吹抜けを通して2階から採光することです。階段を含めると4帖半の吹抜けがあるため、午前を中心に南からの光も入って、十分な明るさが得られました。

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景色を楽しめるのはLDKだけでなく、玄関、階段、寝室、和室と様々な場所からです。普段の設計ではほとんど使わないFIX窓を3ヶ所も使うほど、景色に重点を置いた住まいになっています。

他にもこだわりが満載なので、代表的なものを紹介します。2シンクのキッチンを採用し、3台の冷蔵庫が置けて、大容量のパントリーを備えたプロ仕様のキッチンスペース。茶事も可能な床の間のある和室。自転車が置ける玄関収納。化粧スペースが充実した横に広い洗面台など。

この住宅は「南を背に、北の景色を望む家」として、ホームページの「事例紹介>完成物件」に加えます。ぜひご覧ください。

岸 未希亜

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