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2019.10.16 / よもやま話

ラグビーワールドカップ

9月20日に開幕したラグビーワールドカップ2019が盛り上がっています。それはもちろん、日本代表の活躍抜きには語れません。

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Number986号(2019.10/3) 表紙

9.20 ロシア戦(東京スタジアム)。初めは硬さが見られましたが、松島幸太郎がハットトリック(3トライ)の活躍など、ボーナスポイントを獲得しての幸先よい勝利。私もテレビの前で見ていました。

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Number987号(2019.10/17)より

9.28 アイルランド戦(静岡エコパスタジアム)。対戦時に世界ランキング2位だった強豪国と真っ向からぶつかり、粘り強い守備で主導権を渡さずにつかんだ勝利。ゴール前のラックから、田中-中村-ラファエレ-福岡とパスが渡った時は凄い歓声でした。後半、相手を無得点に抑えたのも凄いことです。でも、この試合は仕事中で見られませんでした(涙)

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Number987号(2019.10/17)より

10.5 サモア戦(豊田スタジアム)。リードしながらもジワジワと追い上げられる嫌な展開でしたが、この試合はフォワード陣の奮闘とスクラムが出色でした。福岡のトライで勝利を確定させた後、最後は互いにボーナスポイントを目指す攻防がスリリングでしたね。スクラムトライを狙うかと思われた最後の攻撃で、左に持ち出した姫野のアタックから、田中-松島とつないでトライ!テレビの前で興奮しました(笑)

10.13 スコットランド戦(横浜国際)。サイズや戦い方が日本と近い相手に対して、前半だけで3トライと圧倒。福岡のハンドリングの上手さ、フォワード陣のオフロードパスから稲垣の初トライも感動的でした。後半、スコットランドは「こんな奴らに負けてたまるか」という気迫溢れるプレーを見せましたが、日本は対戦成績1勝10敗の相手に勝利するとともに、前回大会の雪辱を果たしました。

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朝日新聞(2019年10月14日)朝刊より

9大会連続出場を果たしている日本ですが、予選プール突破=ベスト8進出は初めての快挙です。

ところで、日本でラグビーワールドカップが開催されることを、どれぐらいの人が知っていたでしょうか?
実は、今大会の2大会前にあたる2011年大会の開催を目指していた日本は、今から15年前の2004年から招致活動を始めていました。決選投票でニュージーランドに敗れたものの、日本の評価は高く、2009年には2015年大会(イングランド開催)と併せて、2019年大会の日本開催が決まりました。この日本開催自体が驚くべき出来事だったと思います。なぜなら、ラグビー界には明確なヒエラルキーが存在するからです。

「ティア(tier)」(=階級)という言葉を耳にした方も多いと思いますが、強豪国である欧州6カ国(イングランド・ウェールズ・スコットランド・アイルランド・フランス・イタリア)と南半球4カ国(ニュージーランド・オーストラリア・南アフリカ・アルゼンチン)は「ティア1」に属し、日本を含む中堅国の13カ国は「ティア2」に属します。その下にはラグビー発展途上の「ティア3」も存在します。2017年までは同じティア同士でしかテストマッチ(試合)を組めないという不文律があったそうで、イギリス発祥のスポーツらしい階級を重んじる不公平さが漂います(笑)

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Number986号別冊付録より

過去にワールドカップを制覇した国は、ニュージーランド3回、オーストラリア2回、南アフリカ2回、イングランド1回(8大会で4カ国だけ)。これはサッカーでも似たところがあって、21大会(約90年間)で7カ国しか優勝していないので、サッカー界にも実質的な「ティア1」は存在します。しかし、同じくイギリス発祥のフットボール(サッカー)が世界中に広がっていって、英国の階級支配から逃れたのとは対照的に、ラグビーにはまだ伝統国の階級意識が残っているのでしょう。
そもそも「イングランドってイギリスじゃないの?」と思っている方もいますよね。オリンピックは英国として出場していますが、ラグビーとサッカーでは、英国4協会(イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランド)が国家として大会に出場する特別待遇なのです(ラグビーの場合、北アイルランドはアイルランド代表に統合)。

また、ラグビーは極めて波乱の少ないスポーツです。サッカーのように守りを固めて失点を減らしたり、2~3人のカウンターで点を取るといった芸当ができません。チームの総合力、その国のラグビー熱が問われるスポーツなのです。したがって地の利があったとはいえ、今回の4連勝は奇跡でもフロックでもなく、実力でティア1の国と渡り合ったことが凄いと思います。
それらを踏まえて改めて今大会の日本代表の戦いぶりを見ると、その活躍がより鮮やかに映るのではないでしょうか?

岸 未希亜

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