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2019.09.19 / よもやま話

父と娘の北陸巡り2

2日目も朝から雨が降る中、北鉄バスの1日フリー乗車券を使って金沢市内を回ることにしました。29年前に友人と来た時は、金沢市内に重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建地区)はまだ無く、兼六園や長町武家屋敷跡、尾山神社などを見ましたが、今回は重伝建地区を総ざらいします(笑)

観光地として人気が高い「ひがし茶屋街」は、「東山ひがし」という名称で重伝建地区に選定されています。それを取り囲む一体には、寺社と町家が混然一体となった「卯辰山麓(うたつさんろく)」という重伝建地区があります。浅野川の東岸、金沢城の北東に位置する卯辰山の山麓に一向宗(浄土真宗)以外の寺院が集められ、一向宗監視の目的とともに、城下の防衛拠点として出城の役割を果たしました。

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山の斜面に狭い路地が入り組んだ複雑な構成になっているのですが、保存地区は東西690メートル、南北840メートルの広範囲にわたっているため、それらしい雰囲気のある場所を探すのにうろうろ。雨も降っているため、娘のテンションは明らかに下がっていきました(笑)
そろそろ我慢の限界かな、ということで「ひがし茶屋街」へ移動。写真や映像で何度も見ていたメインストリート以上に、裏側の路地が良い感じです。朝早かったので、人の少ない写真が撮れました。

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京都の祇園のような現役の茶屋は少なくなっていますが、重要文化財に指定されている「志摩」を見学できます。

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1階は裏舞台になっていて階高が低く、2階の客間は開放的な造り、艶やかな色使いで粋な雰囲気の空間でした。中庭を通した景色には町家らしさも感じます。

ところで金沢と言えば「金箔」。金沢は日本の金箔生産量の99%以上を占めるそうです。実は、この旅における娘の一番の希望は「金箔ソフトクリーム」を食べることでした。

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ひがし茶屋街にある「箔一・東山店」で念願の金箔ソフトを食べた娘は、ご満悦でした。金箔のキーホルダーも買って、これでもう少し町並み歩きに付き合ってくれるかな・・・(笑)

ひがし茶屋街から歩いてすぐの浅野川沿いにも重伝建地区の「主計町(かずえまち)」があります。ちょうど客を乗せた人力車が走っていて雰囲気もありつつ、範囲も狭いので短時間で回れました。

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兼六園の隣にある金沢21世紀美術館は人気スポットで、昼前に来た時は長い行列が出来ていました。待ち時間が勿体ないので、急きょ、忍者寺の異名をもつ妙立寺の見学を予約して、行き先変更です。

妙立寺のある犀川西岸一帯は、卯辰山麓と同様に城下町の防衛拠点として寺院が集められた場所で、「寺町台(てらまちだい)」として重伝建地区になっています。

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旧野田道沿いは、通りに面して大きな寺院が見えますが、旧鶴来道沿いは町家の間に寺院の山門があり、寺院はその奥に下がって建てられているので、町並みの雰囲気が異なります。本日4ヶ所目の重伝建地区ですし、雨も降っていたので、娘を妙立寺に待たせて、急いで町並みを歩きました。

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妙立寺は外から見ると2階建てですが、内部は4階建て7層という迷路のような空間構成で、落とし穴や隠し階段もあって、子供も十分に楽しめる施設です。予約時間になると100人ぐらいが集まり、グループ毎に分かれて見学しました。案内人の説明も面白かったので、これは娘にも良かったみたいです。

前述の旧野田道沿いに、モダンな建築が建っていました。この7月にオープンしたばかりの「谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館」という施設で、金沢市の名誉市民第一号である建築家・谷口吉郎氏が暮らした家の跡地に、長男で建築家の谷口吉生氏が設計したものです。

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谷口吉生は土門拳記念館(酒田市)、葛西臨海水族園(江戸川区)、猪熊弦一郎現代美術館(丸亀市)、慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部(藤沢市)などを設計しているので、一般の人でも無意識に作品を見たことがあると思いますが、ここを訪れていたのは恐らく建築関係者ばかりですね(笑)

そして再び金沢21世紀美術館に戻ると、昼よりは短い待ち時間で入ることができました。

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ご存じの方も多いと思いますが、服を着た人がプールの底を歩いているように見える「スイミング・プール」という作品が有名ですね。しかし雨が降っていたので、水面を挟んだ不思議な交流はできませんでした。

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でも、普段なかなか美術館に連れて行くことが無いので、娘の知的好奇心を刺激する貴重な時間になったと思います。
それでは最後に、靴と靴下がびしょびしょに濡れた金沢での一日を振り返ります。(つづく)

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志摩の前で/金箔ソフト/21世紀美術館×2

岸 未希亜

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