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2019.06.16 / 建築と住まいの話

飛騨へ修学旅行 上篇

神奈川エコハウスの家を造っている職人さんと、一泊二日で修学旅行をして来ました。昨年は仕事で行けなかったのですが、今年で3度目の参加です。今年は大工さん5人、電気屋さん、造園屋さんと私の8人でした。

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何ヶ月も前から計画は始まっていて、私も希望の行き先を聞かれたので「白川郷」と伝えました。実は、犬山城と有楽苑に行くことになっていた3年前にも「犬山城に行くなら、併せて白川郷はどう?」と言ったのですが、「遠過ぎる」ということで却下された過去が(笑)。今回はメインの目的地が飛騨地方になったので、ついに白川郷へ行くことができます。

朝6時半頃に出発して、途中でもう1台と合流し、初めに向かったのは山梨県甲州市塩山にある恵林寺(えりんじ)です。

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恵林寺は1330年に夢窓疎石が開山し、応仁の乱で荒廃しましたが、武田信玄によって再興された臨済宗妙心寺派の禅寺です。武田氏の菩提寺としても有名で、境内には武田信玄の墓所もあります。

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建物としては国の重要文化財である四脚門、県の文化財である三門などがありますが、最も有名なのは本堂の裏にある池泉回遊式の庭園で、国の名勝に指定されています。庭のことなら藤木さんなので、軽く解説してもらいました。

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京都の庭と違って手入れが行き届いていないのを残念がっていましたが、本堂(方丈)と庫裡をつなぐ渡り廊下には腰掛けがあり、ここからの景色は雅に感じられました。

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夢窓疎石の手になる庭園としては、京都の西芳寺や天龍寺、鎌倉の瑞泉寺、多治見の虎渓山永保寺が知られています。自分は全部見たことになるのですが、改めて瑞泉寺に行ってみようと思いました。

中央自動車道から長野自動車道に入り、松本ICで高速を降りて国道158号を西進。上高地の脇を通り過ぎ、安房峠をバイパスする安房トンネルを走って岐阜県に入ると、高山市内を通過して東海北陸自動車道を北上。その名も白川郷ICを降りると目的地はすぐそこです。昼食を含めて約5時間の行程でした。

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俗に「白川郷」と呼んでいるのは「白川村荻町」という重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建地区)です。重伝建地区の制度が始まった1976(昭和51)年、最初に選定を受けた7地区(他は角館、妻籠、京都・産寧坂、京都・祇園新橋、萩・堀内、萩・平安古)の一つが白川村荻町でした。1995(平成7)年には世界文化遺産にもなっています。
観光車両(バスやマイカー)は集落の中に入れないので、庄川を挟んだ駐車場に車を停め、吊り橋を渡って集落に入ります。入った所は人も多く、見通しも悪かったので、「白川郷に来た~」という感動はお預けでしたが、茅葺き屋根の民家が其処かしこにあるのは、やはり特異な風景です。奥へ進んでいくと、合掌造りの民家がずらっと並んでいる光景が現われました。

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「合掌造り」の定義は、「小屋内を積極的に利用するために扠首(さす)構造の切妻屋根とした茅葺きの家屋」ということで、富山湾に注ぐ庄川上流の岐阜県白川郷と富山県五箇山地方にしか見られない、特殊な形態の民家です。内部を公開している民家が幾つかあり、私たちは明善寺郷土館(明善寺の庫裡)に入りました。以前に日本民家園や三渓園、鎌倉の蕎麦屋などで「合掌造り」を見たことはありましたが、移築ではない合掌造り民家を見るのは初めてなので興奮しました。

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構造的には柱、梁、扠首台(ウスバリ)までの軸部を大工が造り、扠首からの上の屋根部は地元で結(ゆい:相互扶助)で造られています。明善寺庫裡は白川村でも最大の5階建てで、屋根裏の大空間が四層に分かれており、主に蚕室として利用されました。昔はこの地域でも寄棟屋根が一般的でしたが、耕地面積を拡大できない谷間の村ということで、古くから換金作物として養蚕が盛んになり、江戸時代中期以降に合掌造りが広まったようです。

白川郷の象徴的な風景といえば、高台から見下ろした白川村荻町の全景です。皆さんも絵葉書や旅番組などで見たことがあると思います。こんな遠い所まで連れて来てもらったのも、アレをこの目で見たいから・・・

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150年前、200年前の風景が変わらず残っている。文化が成熟したヨーロッパでは当たり前のことですが、日本でもこんな風景を守っている人たちがいることに、改めて感動しました。これは「インスタ映え」とか、そんなレベルの話ではありません(笑)

山を越えた富山県側に、重伝建地区の五箇山・相倉(ごかやま・あいのくら)と五箇山・菅沼があるので、そこにも行きたかったのですが、時間切れで断念。世界文化遺産に登録されているのは「白川郷・五箇山の合掌造集落」であり、まだ志半ばなので、次は五箇山にも行きたいと思います。(つづく)

岸 未希亜

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