今週末に見学会を開催する「あきる野市Ｙ邸」の見どころを紹介します。
何と言ってもこの家の特徴は、フクビ化学工業が企画し、アースデザインオフィス（岸）が設計したレディ・メイド住宅「木-Lism」ということ。エアサイクルの仲間のために設計した住宅ですが、当社で建てることになった初めての「木-Lism」です。
木-Lismの間取りは大別すると2種類で、和室のある31.75坪の住宅と、和室のない31.0坪の住宅です。2種類しかないので、もし間取りが気に入らなければ、「ごめんなさい」と言うしかありませんが、バルコニーの有無、玄関が北西、南西、北東、南東の4パターンある等、合計40プランのバリエーションに展開するため、自分の敷地に合わせて選ぶことができます。
今回は東西幅が5間のtype157（延床面積31.75坪）で、「北道路の北西玄関、バルコニーなし、南面に柱を立てた土庇付き」です。1階では和室の畳をフローリングに変え、押入部分は外物置に変更し、室内側はその壁一面を本棚にして書斎にしました。書斎とリビングとの境は腰壁を造ってソファを置き、上部にある3本の襖とキッチン側の2本の襖を開放すれば、ＬＤＫと書斎を合わせて22.5帖もの広さです。襖を閉めれば独立した書斎にも早変わりです。
2階は標準プランの通りで、主寝室、2室の間に仕切りのない子供室、スタディコーナー、納戸、ウォークインクローゼット、トイレで構成されています。階段を上がった所、子供室や主寝室への動線上にスタディコーナーがあるので、親子のコミュニケーションが自然に図れます。無駄な廊下も無くなり、採光や通風の面でも優れています。
住まいを考えるにあたっての理想的な姿は、その土地、そこに住む人に合わせたオーダーメイドだと思います。ところがオーダーメイドに加えて、素材や造りにしっかり手をかけると、どうしても価格は上がってしまいます。服でも食べ物でも、オーダーメイドは特別ですよね。
一方で、「永く住み継ぐ」ことを考えるなら、家をシンプルにつくることも大切です。特定の人に合わせ過ぎた家は、住み継げる人を失い、家を短命化させる恐れがあるからです。これは湘南LO-COの考え方でもありますね。ただ、湘南LO-COの家は自由に間取りを考えられますが、木-Lismは間取りが決まっています。普通に考えると木-Lismの分が悪いように思いますが、そんなことはありません。
実際にこの家に入ってみれば、「シンプルだけどよく出来ている」と思われるでしょうし、建て主の個性が出ていない分だけ、多くの人が、「自分も住める」「自分も住みたい」と感じてもらえる家だと思います。だって間取りを考えたのは、この私ですから（笑）
ところでここ最近、拙著「最高にわかりやすい住宅の間取り教室」を読んだ方からの問い合わせが続き、少し驚いています。その先駆けと言えるのが、今回の建て主であるＹ様。拙著を読んで考え方に共感してくださっていたことに加え、コストメリットも大きいということで、すぐに「木-Lism」を気に入ってくださいました。拙著に共感してくださった方は、あきる野市までお越しください（笑）
岸 未希亜
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