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2018.09.20 / 建築と住まいの話

水の町 郡上八幡

9月も半ばを過ぎ、少しずつ秋を感じられるようになってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、前回、盆休みに訪れた「うだつの町並み」美濃市についてブログを書かせていただきました、住宅事業部の坪田です。今回は、同じくその旅で訪れた郡上八幡について書かせていただきます。

郡上八幡は、美濃市から長良川鉄道で45分位北に向かったところにあり、四方を山に囲まれた町です。

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長良川鉄道郡上八幡駅

突然ですが、地方のローカル線を使った旅での楽しみの一つに駅舎があります。昔のまま残っていることも多く、また屋根の構造が、洋小屋だったりします。洋小屋とは西洋から明治以降に伝わり、洋風建物に広く使われています。特徴としては、木材をボルトで繋いで多くは引張力だけで成り立っており、細い部材(木材)の構成で、広いスパンを飛ばせることです。また、和小屋にはあまり見られない斜材が特に印象的です。

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郡上八幡駅プラットフォーム屋根1

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郡上八幡駅プラットフォーム屋根2

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関駅プラットフォーム屋根

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郡上八幡の町並み

郡上八幡駅から10分ほど歩きますと、郡上八幡の町並みが見えてきます。私が訪れた日は、日本三大盆踊りの一つ「郡上おどり」が行われている期間中でした。夏の期間中(約1ヶ月)は町のあちこちで盆踊りが行われ、特に8/13~16の期間中は、午後8時から翌朝まで踊り続ける「徹夜おどり」が行われます。訪れた日は14日だったので、徹夜おどりの期間中でしたが、それが目的で訪れた訳ではなかったのと、また宿が美濃市にあって車での送迎をお願いしていた関係もあり、参加はしませんでした。それでも、町中には郡上おどりの提灯等がぶら下がっていたりして、その雰囲気を少しは感じました。

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伝統的建造物群保存地区

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水路にある水舟

また、郡上八幡の町中には、いくつもの水路が流れており、水の町としても有名です。宗祇水(そうぎすい)という湧き水が出ている場所は名水百選にも選ばれています。昔から町の人は水を上手に利用していたそうですが、一方で水の利用の仕方には決まり事がいろいろあったようです。上流部(湧き水等の源泉に近い方)では飲水、次の段階のところでは食器を洗ったり、野菜を洗ったり、冷やしたりするところ。洗濯は決まったところで、またオムツの洗うところは最下流のところ等。洗う前には、上流や下流で水を使っている人に一声掛ける等も決まりとしてあったそうです。現在は上下水が整備され、以前ほどは水路の水が利用されなくなっているそうですが、この日は暑かったので、打ち水に利用されたり、野菜を冷やしている光景に出会いました。 

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郡上八幡城
 

郡上八幡には見どころとしてもう一つ、日本最古の木造再建城があります。昭和8年の再建で、詳細な図面がなかったそうで、当時まだ木造で存在した大垣城を参考に再建したそうです。 

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郡上八幡城断面
  
 
上図は後日、写真をもとに起こしてみた断面図です。見えない部分等もあり、そのようなところは想像で描いています。(ちょっと左に傾いてしまっています。書く字もそうですが、右肩上がりに線を引いてしまい気味です。)
階段のある周りには、4本の柱を抱かせて(束ねて)柱が立っていました。再建当時はあまり太い木材もなく、細い木材を合わせて工夫して立てたのだなあ、と中を見学しているときは感心して見ていました。
後日、その話を大工に得意気に話すと、その大工は少し前にその城を見にいっていたのですが、「多分、それは後に行われた補強だよ。」と言われました。「エッ?」と思いましたが、よくよく写真を見ると、確かに古い柱に新しい柱を抱かせているのが見て取れました。
詳細なことは分かりませんが、当時は予算も少ない中、細い部材で華奢に作られたのかなぁと思いました。感覚的には、城だったら、現在の補強された状態ぐらいが構造的に普通な状態だと思いますし、当時は随分中の構造は華奢に見えたと思います。

また、休みの際に昔の町並みに訪れると思いますが、そのときはまたご報告したいと思います。

住宅事業部 坪田 将浩
           


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