今週末に開催される「住まいの教室 第6回」は、実際に生活している住まいを拝見する「オーナー住居訪問ツアー」です。完成見学会とは異なり、「暮らし」を覗くことができるのと同時に、建て主の話を聞くことができるのが醍醐味です。「お住まい拝見」をレビューした9月のブログを見れば、その様子が分かります。
今回お伺いする2軒の家は、どちらも建て主の想いがずっしり詰まった、注文住宅らしいお住まいです。
最初に見学する「鎌倉の家」は、美術大学を卒業している絵の上手いご主人のデザイン・色彩感覚と、建築家の中村好文さんの設計に好感を抱いていた奥様の想いを受けて生まれた住宅です。
建築家住宅はとかくデザインが主張し過ぎて、住まい手に「緊張」を強いることがありますが、中村好文さんの設計は、絶妙なさじ加減で何気ないデザインに見えます。この「緊張」を感じさせない優しいデザインが大きな魅力です。その中村さんの作風に寄せて設計したのが、この家の最大の特徴です。
柱や梁を見せない代わりに、主要な天井に杉板を張っているため、床の桧フローリングと併せて木質感も十分に感じられますし、何と言っても無垢の木を使った床・天井と、白い壁のコントラストが美しいお住まいです。
そして2階に小屋裏のようなスタディコーナーをつくり、その勾配天井が1階へと下りてくるダイニングの空間は、この家のハイライトです。
次に見学する「藤沢の家」は、祖父母が住んでいたという平屋の家を壊し、ご両親が暮らす家の隣に建てた子世帯の住まいです。「道路側にある桜の古木を残したい」というご両親の希望を受け、桜を除ける形で建物を計画し、親世帯のリビングからも桜が見られます。
室内は、柱や梁が整理された架構デザインの空間です。建て主の希望で床に杉の厚板を張っている点がいつもと違いますが、柱も杉、天井にも杉板を多用した「杉の家」で、統一感のある雰囲気になっています。
この家は、「Home & Decor(ホーム&デコール)」の企画「読者が選ぶ、住みたい家のグランプリ」で、24作品の中からグランプリに選ばれた住宅です。写真と解説だけで票を集めたことには驚きましたが、実物の方が写真よりもずっと良さを感じられる住宅なので、ぜひ体感していただきたいと思います。
建て主が作成した「家づくりプロジェクト計画書」が、A4用紙7枚にまとめられた見事過ぎる要望書だったことも、この家の出来栄えに大きく影響しました。さらに、数多くの工務店を比較検討していたことも特筆に値します。当社と競合しそうな工務店をほぼ見学していた建て主は、他社の長所も把握しながら、最終的に神奈川エコハウスを選ばれました。当社を選んだ理由など、いろいろと質問することがありそうですね(笑)
間取り、自然素材、エアサイクル、デザイン、そして住み心地など、見どころ聴きどころ満載のお住まいです。ぜひご参加ください。
岸 未希亜