ブログ

2015.07.14 / 建築と住まいの話

パッシブデザイン

先週、フクビエアサイクルチェーン全国加盟工務店大会に出席して来ました。これはエアサイクル工法に取り組んでいる工務店が、年に1度、東京に集まるイベントで、フクビ化学工業の社長挨拶に始まり、表彰式や基調講演、工務店の取り組み等が紹介されます。

aczen151.jpg

今年は、初の試みというパネルディスカッションを行うことになりました。そのテーマは「エアサイクルと自然エネルギー活用デザインについて」で、毎年このグループで実施しているデザインフォトコンテストの常連工務店がパネリストに選ばれました。
2010年、2011年と最優秀賞を受賞(「サン住宅モデルハウス」で受賞した2012年も含めると、個人的には3年連続受賞)した神奈川エコハウスの他、2013年から今年にかけて3年連続して最優秀賞を受賞している岩橋建築(愛知県)、コンテストの常連であるみどり建設(福井県)、ここ数年で急速に成長している住環境工房SHIDA(宮崎県)の合計4社です。

aczen152.jpg

神奈川エコハウスでのセミナーだけでなく、山梨県で開催した木造学校での授業など、人前で話をすることには慣れている私ですが、いずれも自分でレジュメを作成し、マイペースに話を進めることができます。それに対してパネルディスカッションは、聞かれたことに答えなければいけませんし、初体験ということもあってプレッシャーを感じました(笑)
折しも、なでしこJAPANが準優勝に終わった直後でしたし、開始16分で米国に4失点を喫したことや、ポジションチェンジをして試合の流れをつかんだことなど、得意のサッカーをテーマにした方が、饒舌に話せそうです(笑)

aczen153.jpg

そんなこともあって、テーマである「自然エネルギー活用デザイン」と重なる所が多い「パッシブデザイン」について、事前に改めて調べておきました。試験前の一夜漬けに近い感じがはありましたが・・・

この分野の第一人者とされる野池政宏さんの言葉を借りれば、「いまの平均的な家づくり」は建物と自然を切り離し、設備に頼る家づくりです。一方でパッシブデザインは、「建物が外部の自然環境要素と応答し、建物自体が心地よさを生み出す装置として働く」ようにすること。

そして心地よさの要素は、「冬期における暖かさ」「夏季における涼しさ」「一年を通じての明るさ」「一年を通じての空気環境の清浄さ」の4つに大別されます。
さらに、それらを生み出す具体的な手法(パッシブデザインの手法)は5つにまとめられています。
1)昼光利用
2)日射熱の利用(パッシブソーラー)
3)断熱
4)自然風の利用(通風)
5)日射遮蔽

ここで皆さんもお気付きだと思いますが、神奈川エコハウスの家づくりであり、私がこれまで学んできた設計手法は「パッシブデザイン」なんだということです。
昼光利用や断熱はもちろんのこと、切妻屋根という三角形状の屋根を造り、軒や庇で夏の日射を遮蔽したり、その土地の風の流れを考えた間取りや窓配置にすること。こうして考えた家は、雑誌等で見かけるような見栄え優先のデザイン、尖ったデザインの家とは違い、一見すると何でもないデザインに見えますが、心地よさを生み出す大切なデザインだということを再認識しました。

日射熱の利用(パッシブソーラー)については特殊な手法のようですが、エアサイクル工法は正に日射熱を利用して空気を動かし、夏と冬で自然エネルギーを「調整」する仕組みです。太陽熱温水器を利用したり、日射熱を蓄熱して暖房利用することができれば、鬼に金棒といった感じでしょうか?
ちなみに太陽光発電は自然エネルギーを利用しているものの、快適性をつくり出すために設備に頼っているという構図を考えれば、パッシブデザインに含まれないことは明らかですね。

aczen155.jpg

パネリストに混じって私の隣にいる方は、パネルディスカッションに先立って基調講演をされた建築家・中西ヒロツグ氏で、「大改造!!劇的ビフォーアフター」に8度も出演したことのある有名人です。
応募した住宅は、フォトコンテストの審査で毎年のようにお会いしているのですが、私自身が本人にお会いしたのは初めてでした。懇親会を通じて親しくさせていただいたので、来年は最優秀賞に返り咲けるかな(笑)

岸 未希亜

Category
お知らせ
建築と住まいの話
よもやま話
ロコハウス
書籍・メディア掲載
Archeives