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2026.04.29 / 建築と住まいの話

信州の町並み8 奈良井

約2年ぶりとなる信州の町並みシリーズ第8弾です。前回は「妻籠(つまご)」を紹介しましたが、今回紹介するのは、同じく中山道の宿場町である「奈良井宿(ならいじゅく)」。「塩尻市奈良井」として、重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建地区)に選定されています。

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2015年にシリーズを始めた時、「長野県には重伝建地区が7ヶ所もあり、これは石川県(8ヶ所)に次いで、京都府とともに全国2番目の多さなのです」と書きましたが、2024年8月に「須坂市須坂」が重伝建地区に加えられて8ヶ所になり、石川県に並びました。製糸業で栄えた商家町「須坂」については2016年のブログで紹介しています。

中山道は東海道とともに、江戸と京都を結ぶ江戸時代の幹線道路でした。明治になって大々的に開発された東海道と違い、中山道には古い宿場町の名残を留めている場所が多くあります。中でも木曽山中を歩く行程は険しい道が多いことから、特別に「木曽路」と呼ばれ、昔日の面影をよく残しています。そして木曽路約80kmの区間にある11の宿場(贄川/奈良井/藪原/宮ノ越/福島/上松/須原/野尻/三留野/妻籠/馬籠)を「木曽11宿」と呼びました。

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木曽11宿で江戸から2番目の奈良井宿は、六十九次ある中山道のほぼ真ん中(江戸から34番目)にあります。中山道屈指の難所であった鳥居峠の北側にあり、京に上る旅人は峠越えの用意を整え、逆に険しい峠を越えた旅人が一休みするなどして賑わい、近世には「奈良井千軒」と呼ばれるほどの宿場町でした。

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その見どころは何と言っても、全長1.2kmにも及ぶ長大な町並みです。私が今まで訪れたことのある町並みの中でも、三重県亀山市の「関宿」、岐阜県恵那市の「岩村」に次ぐ長さで、この「どこまでも続く」感じがわくわくさせてくれます。最近はどうか分かりませんが、私が訪れた時は2度とも観光客が少なかったので、写真を撮るのにも困りませんでした(笑)

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下町の町並み

宿場は南(京都側)から上町(かんまち)、中町(なかまち)、下町(しもまち)に分かれています。上町と下町は道幅が2間(約3.6m)ほどと狭く、下町は職人の町として発展したため、間口の狭い町屋が多く建ち並んでいます。

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中町の町並み

中町に入ると道幅が3間半(約6.3m)と広くなり、雰囲気が変わります。この中町に本陣・脇本陣などが置かれ、問屋や旅籠など間口の広い大きな町屋が並びます。

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上町側から見た鍵の手

中町と上町の境には道筋を屈曲させて見通しを悪くした「鍵の手」があり、要害としての機能も考慮されています。そして道幅は再び2間ほどの狭さになります。

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中央高地(信濃・美濃の山地)には、豊富な森林資源を背景にした板葺き屋根の民家が分布しており、木曽路の伝統的な町屋は平入り切妻の板葺き屋根です。現在は金属板葺きになっていますが、奈良井の町屋は軒庇が極端に長いのも特徴です。「せがい造り」または「出梁(だしばり)造り」と呼ばれる2階正面が1階よりも前に出る形のうえ、屋根も出桁(でげた)になっていて軒が相当に深いため、恐らく軒先が道路に出ている所もあります。雨でも出入口を開け放しにできるため、旅籠に適した造りであったと言えます。

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せり出した2階の下端には板庇も取り付けられています。この庇は板を重ね張りした造りの「鎧庇(よろいびさし)で、通常の垂木に相当する部材が段々に削られた形で庇を上から支えています。正面から見ると猿の頭が並んでいるように見えることから「猿頭(さるがしら)」と呼ばれ、奈良井宿の特徴になっています。

ゴールデンウィークの予定はもう決まっていると思いますが、信州・木曽方面にお出掛けの方にはぜひ立ち寄ってほしい、見応えのある宿場町です。

岸 未希亜

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