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2022.06.06 / 建築と住まいの話

「Less is More」なLO-CO ver.

資材の値上がり、インフレ、SDGs、カーボンニュートラル、様々な変化があり、住まいも大きな変換点に来ています。
そこで、いままでとは違ったアプローチで考え、新しい価値観の住まいを造り、広めるにはいい機会ではないかと思います。

「Less is More」⇒「少ない方が豊かである」。
20世紀、モダニズム建築がいままでの華美・コテコテな建築様式を一新した時代に活躍したドイツ出身の建築家ミース・ファン・デル・ローエが残した有名な言葉です。シンプルなデザインを追求することで美しく豊かな空間が生まれるという、モダニズム建築の信念を表しています。

nichi-nichi-kaには、「Natural ver.」と「LO-CO ver.」の2つのバージョンがあります。
シンプルでプレーンな空間を求める「Natural ver.」は、ミースが使った意味合いで「Less is More」な住まいと言えます。
デザイン的に余分な要素を少なくして、シンプルに造り上げていきます。

一方、「LO-CO ver.」は、違った意味で「Less is More」と呼べます。
「Less is More」⇒「少なく造ったほうが豊かである。」
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LO-COシリーズは2013年に「LO-CO HOUSE」としてスタートしていますが、当初から考えられていたのは、天井仕上げなど造る事自体を「Less」にしてコストダウンや工期短縮を図ることです。そして、少ない建築・建設行為で、より豊かな住まいにすることを目指しています。
様々な資材や設備、すべてのものが値上がりしている状況で、小さく造る、シンプルな形に造るということは、よく言われることですが、更に、内装仕上げなど、造る部分を少なくすることは、確実に、更なるコストダウンにつながります。
LO-CO ver.では、基本形は天井仕上げがありません。
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通常は天井下地を造り、石膏ボードを張って、クロスを貼って仕上げます。天井の下地を造るインニッサンと呼ばれる30X40mmの細い木材もどんどん値が上がり、少し前の倍以上の価格になっています。石膏ボードも上がっています。クロスも上がっています。
天井がなくなることにより手間が増える部分も多少ありますが、トータルではかなりコストダウンになりますし、工期も短くできます。そして、天井がないことで全面的に木の天井になり、広がり感も感じられます。特に2階は登り梁構造の勾配天井となるので、空間として豊かになります。また、天井に使われるスギ材は、節があり、色のバラツキもありますが、時間が経つことで、とてもいい色合いに変化していきます。クロスのように定期的に貼りかえる必要もありません。
天井のある一般的な家とはかなり違いますが、天井を無くすことで空間の豊かさに結びついています。また出るゴミを減らすことになりますので、コストダウンにもなり、環境にもいいと、いいことばかりです。
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現在の木造住宅は、基本的に石膏ボードがないと、なかなか成り立ちません。壁の防火基準を満たすためには、室内側は石膏ボードを張り、その上にクロスを貼るのか、珪藻土などの塗り壁で仕上げる形が一般的です。いままでは石膏ボードはとても安かったこともあり、防火基準をクリアする要として石膏ボードが多用されてきました。
建売住宅などは、輸入の一番安い構造材を使い、多少粗くてもとにかく早く造り、上から石膏ボードと安価なクロスを貼って隠すことが、一番早く・安く建てる方法でした。しっかりとした注文住宅とくらべると半分以下の金額でも建築することも可能でした。そのため、25~30年くらいのスパンで建て替えることを前提として、大量に安価な住宅を造ってきました。
しかし、最近の価格上昇は建売など安価な住宅を造ってきた会社にも大きな影響を与えており、価格はかなり上がっています。ロシア産の木材に頼っていたローコストビルダーにとっては、特に影響が大きいことでしょう。
価格が上がったということだけでなく、環境を大切に守っていかなければならない時代に、今までのようにスクラップ&ビルドを短いサイクルで繰り返すわけにはいきません。
やはり、これからはしっかりと丁寧に造ったものを大切に長く使い続ける時代です。時間が経っても、建物自体に魅力があり、資産価値が残る住まいを造る必要があります。

・長く使っても壊れない
・メンテナンスしやすい、メンテナンスしながら長く使える。
・味わいを増していく素材で造られている。
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そのような視点で考えるとLO-COシリーズは、今の状況への対抗策として、とても有効だと考えています。
少ない材料と手間で、ゴミも減らして造り、暮らしてからも省エネで、ゴミにならずに使いつづけられます。
環境負荷も「Less」にして、そして空間や暮らしの豊かさを「More」にできます。
2013年から10年近い実績もありますので安心です。
LO-CO ver.はこれからの時代に対応する私たちらしい「Less is More」な住まいとして、今まで以上に注目される時期に来ていると思います。

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