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2022.02.05 / よもやま話

十勝のお土産

NHK連続テレビ小説こと通称「朝ドラ」は、現在「カムカムエヴリバディ」が放送中です。昨年前期は「おかえりモネ」、2020年度の「おちょやん」「エール」、2019年度の「スカーレット」と遡り、2019年度前期に放送された「なつぞら」が、ちょうど「朝ドラ」第100作にあたりました。

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「なつぞら」は、広瀬すず演じる主人公の奥原なつがアニメーションの世界で活躍する物語ですが、彼女をたくましく育てた北海道・十勝の大自然や開拓時代の人々の姿も丁寧に描かれました。その中で「雪月(せつげつ)」という帯広の菓子店が登場したのを覚えていますか?
この「雪月」のモデルになったのは、現在の「六花亭」と考えられますが、「柳月」にも配慮したネーミーングになっていましたね(笑)六花亭と柳月は十勝の二大製菓メーカーであり、北海道を代表する銘菓を数多く作っています。皆さんも、すぐに贔屓のお菓子が思い浮かぶのではないでしょうか?

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六花亭は1977(昭和52)年、前身の会社である「帯広千秋庵」から社名変更して生まれました。私の妻の幼少期は、まだ帯広千秋庵として営業していたそうです。
「千秋庵」の歴史は古く、江戸末期の1860年に、秋田藩の佐々木吉兵衛という人が函館で始め、やがて「小樽千秋庵」が暖簾分けし、続いて「札幌千秋庵」が暖簾分けしました。そして1933(昭和8)年、「札幌千秋庵」の支店として「帯広千秋庵」が誕生します。
経営難と支店長の病で廃業が決まっていた店を、1937(昭和12)年に引き継いだ小田豊四郎氏は、苦労の末に帯広千秋庵を盛り返すと、戦後、粗悪な甘味料が横行していた時代に、本物の砂糖や最高の材料を使って菓子を提供し続けたことで、十勝で不動の地位を築いたということです。

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その後、ホワイトチョコレートをヒットさせた帯広千秋庵ですが、味の違う類似品が数多く販売されるようになると、主に千歳空港を利用した客から会社に苦情が来ることに。千歳空港は札幌千秋庵の商圏なので、帯広千秋庵は出店を許されず、悩み続けた小田豊四郎は45年間も使っていた「千秋庵」の暖簾を返上し、1977年に社名を「六花亭製菓」へと変更したのです。この時に誕生した「マルセイバターサンド」は六花亭を代表する商品になり、現在も売り上げの半分近くを占めています。

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今回は西2条にある帯広本店に行って来ました。2階に喫茶室があって食事ができるのですが、1階で売っている生ケーキを注文することもできます。私たちはモンブラン、苺のテリーヌ、そして「サクサクパイ」を注文しました。

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この「サクサクパイ」は、サクサクの食感が損なわれないように賞味期限が3時間とされ、昔は帯広と釧路の店舗でしか販売していませんでした。現在は札幌でも販売されていますが、東京や神奈川では拝むことができない逸品です。北海道に行った際には、ぜひご賞味ください。

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六花亭の話が長くなってしまいましたが、柳月についても紹介します。
柳月は戦後間もない1947(昭和22)年、帯広で創業しました。当時の帯広には60軒を超える菓子店があって、舌の肥えた市民を納得させるのは難しかったそうですが、その激戦区で菓子の味と商いの姿勢が評判となった柳月は、十勝を代表する菓子店へと発展していきました。

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柳月を代表するロングセラー商品は、白樺の薪の形状を再現した「三方六」というバウムクーヘンで、1988(昭和63)年には第27回モンドセレクション最高金賞を受賞。原料も十勝産にこだわり、砂糖(てん菜)、牛乳、小豆はもちろん、菓子には不向きとされた十勝産小麦も製粉の工夫で実用化し、十勝産小麦100%を実現しています。
個装された「三方六の小割」、「三方六の小割~冬の濃厚ショコラ」もあり、最近は「あんバタサン」が人気のようですが、私は「十勝この実」というフィナンシェが好きです。

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会社へのお土産は、六花亭の「マルセイバターサンド」「霜だたみ」。柳月の「十勝この実」「月ふわり」「月ふわり・苺」「大納言」。六花亭と柳月のお菓子を織り交ぜて、選ぶ楽しさを味わってもらいました。社員に一切れずつ配るつもりだった「三方六」は、打合せで来社されたお客様に提供することにして、好評でした。

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最後に、今年で創業50周年を迎える帯広の洋菓子店「クランベリー」のスイートポテトを紹介します。
さつま芋の皮を容器として使うユニークな形が目を惹きますが、甘さ控えめでとっても美味なお菓子です。関東では知らない人も多いと思いますが、帯広では有名なお菓子なので、ぜひ覚えておいてください。 

岸 未希亜

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