今年、2010年にお引き渡しした住宅が、竣工から丸10年を迎えます。2009年に神奈川エコハウスに入社した私は今月で在籍11年となり、設計した住宅は今年から順次10年が経過します。そして先日、私にとって初めての10年点検に同行しました。
第1号は平塚市に建てた「ステップフロアダイニングの家」です。完成後は、新築を検討中のお客様をご案内することも度々あり、また近くに現場や用事があった時には、立ち寄って近況報告や雑談を交わすことも多く、親しくさせていただいているお施主様です。
私にとって最初の建て主ということもありますが、ご主人が私と同じ高校の先輩であること、奥様が建築に関心が高いこと、そしてお二人の人柄もあって、10年の間に20回余り訪れてきました。コロナ騒動が大きくなる前の2月に伺い、娘の高校受験の話をしていたので、5ヶ月半ぶりの訪問です。今回も、その後の娘の高校生活の様子や仕事の近況などをお伝えして、楽しいひと時を過ごしました。
室内は、杉や桧が日焼けして木の色が濃くなっている以外は当時と変わりませんが、庭木の生長が10年の歳月を感じさせます。最初の2年ぐらいは木も大きくならないのですが、今では道路から家がはっきり分からないぐらいです（笑）
旅行や飲み会に気軽に出掛けられない、という嫌な世の中になってしまい、旅行が好きな人や交友関係の広い人にはつまらない日々だと思いますが、逆に「家の居心地の良さ」が大切であることを再認識させられますね。この家も、「帰りたくなくなる」居心地の良さがあります。
第2号は鎌倉市に建てた「3つのスタディをもつ家」です。昨年、オーナー住居を訪問する「お住まい拝見」をお願いしたので、10ヶ月ぶりの訪問になりますが、その時に不在だったご主人と会うのは約2年半ぶりです。
前述の平塚の家のように、平日にふらっと立ち寄ることは無かったのですが、それでも10年で10回ぐらいお会いしているので、お嬢さん（姉妹）が2人とも私の高校の後輩であること、姉妹が揃って同じ大学に通っていることなどは把握しています（笑）
こちらの家も庭木の生長によって、まるで森の中に家があるような外観です。外から見ても雰囲気がありますが、室内から見た景色がまた素晴らしく、つい長居したくなってしまいます。
そして驚くことにこの家は、ＬＤＫや寝室にエアコンがありません・・・。2階南面にあるご主人の書斎にだけはエアコンがあるのですが、その他の部屋にはエアコンを設置しないまま10年も暮らしているのです。毎夏、お盆の時期など1週間ぐらいは「暑さ」を感じているそうですが、それでも風通しの良さと扇風機だけで凌いで来られたとのこと。エアサイクル工法、屋根の軒が深いこと、庭木の緑陰、海風が心地よい湘南エリアといった要素が、それを可能にしていると思います。
この日も最高気温35度超えといった暑い日でしたが、確かにエアコンが無くても大丈夫でした。人によって暑さ寒さの感じ方は異なりますが、「エアコンを使わないと命の危険がある」家に住んでいる人には、羨ましい話ですね。
岸 未希亜
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