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2019.12.23 / 建築と住まいの話

建築家 坂茂さんを知っていますか?

アースファクトリー事業部の高橋です。
先日、有明の東京ビッグサイトで開催されたWOOD コレクション(通称モクコレ)というイベントに行ってきました。
全国から国産材に関わる製品が集まる見本市のようなものです。製品の情報収集という目的もあったのですが、プログラムの中に建築家 坂茂さんの講演があったので、ぜひ見たい、聞きたいということで行ってきました。
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皆さんは、坂茂という建築家をご存知でしょうか。建築家で誰が一番「尊敬」に値する人物かと質問されれば、私は間違いなく坂さんの名前を挙げるでしょう。
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坂さんは、2014年に建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞を受賞し、2017年にはマザー・テレサ社会正義賞を日本人として初めて受賞しています。
世界的に評価されている建築家ですが、残念なことに日本での知名度はそれほどではないと思います。特に建築関係以外の方は、知らいない方が多いのではないでしょうか。
フランスに建てられたポンピドー・センター・メスなど、建築作品の実績から評価されている部分もありますが、坂さんの評価をここまで高めているのは、「行動する建築家」と称される行動力とボランティア精神です。
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日本・海外を問わず、災害や困っている人々がいるところに自ら出向いて、建築に関わる支援をずっと行って来たのです。
時には自らトラックを運転して現地に駆け付けるなど、その行動力は、世界的に評価される大建築家になった今でも変わりません。
坂さんはある程度仕事もできるようになった時に、「なんだ、僕ら全然社会のために役に立っていないな」「建築を使って何か社会に貢献できなのか」と思うようになったといいます。
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そして、初めは1994年、37歳の時にルワンダの難民のためのシェルターを造る支援を行いました。
そのいきさつも「行動する建築家」らしく、国連に手紙を出しても、返事がないので、アポなしでジュネーブの国連事務局まで行って、なんとか協力させてもらえるように自ら話をつけたということです。
そして、坂さんは、「紙の建築家」とも称されていて、紙管で万博の日本館など大きな建築から小さなシェルターまで造ります。
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特に災害などでは、紙管の軽量性や加工性を活かした避難所用の間仕切りが活躍します。
これも、初めは前例がないということで、使ってもらうまでにとても苦労したようですが、何度も足を運び、自費で造った実物を見せたりしながら使ってもらえるところを探していったようです。
最近は災害が起き、ニュースで避難所の映像が流れると、坂さんの間仕切りシステムが使われているところを、よく見るようになってきました。
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さらに、坂さんの建築家としてすごいと思うところは、既成概念に囚われずに新しいシステムを考えてしまうこと。
紙管を使うなど材料もそうだし、木材のジョイントであれば、こう組み合わせると圧縮の力だけかかるから構造的に合理的であるとか、中国の竹の帽子をヒントに木材を6角形に組むと、接合部が単純になって構造的にも施工的にもよくなるとか、詳細まで新たに自分で考え、実験などで実用できるレベルにしてしまうところです。
だから、他の建築家にはない新しい発想ができるのだと思います。
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そして、紙管を使う理由として、造る時だけではなく解体される時まで考えて、エコな建築を造らないといけないというところも尊敬に値します。
講演の中で一番印象的だった話は、坂さんが難民の住宅や被災地の教会など仮設的な建物を造ってきた中で、たとえ仮設的な建物であっても人々に必要とされ、「愛されることでパーマネントな建築になる」という話です。
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現地に何度も自ら足を運び、その場所の人たちと直接向き合ってきた坂さんから発せられると、とても重みのある言葉でした。
新国立競技場の設計などで、メディアから注目される建築家もいますが、日本にはもっとすごい建築家がいるということ、多くの方に知ってもらえるといいと思います。
比較的最近の事例では「富士山世界遺産センター」(静岡県富士宮市)などがあります。
自分も見学しましたが、らせん状のスロープを上がっていった最後の演出がなかなかいいですよ。
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その他の作品はこちらをご覧ください。

被災地のボランティアに関する活動はこちらをご覧ください。

神奈川エコハウスの丁寧に造り上げる家造りの根底にも「愛されることで住み継がれる⇒パーマネントになる」という思いがあると思います。
坂さんからいい刺激を受けましたので、住まい手と共にさらに「愛される住まい」を造っていきたいと思います。

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