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2018.06.30 / よもやま話

日本代表の戦い

昨日の試合でワールドカップの予選リーグが全て終わり、早速、今夜から決勝トーナメントが始まります。
ブラジルが順当に首位通過した一方で、スペイン、アルゼンチンはギリギリで予選を通過し、前回優勝のドイツが予選敗退する波乱もありました。2010年のイタリア、2014年のスペインに続き、前回大会優勝国が3大会連続で予選リーグ敗退というのは、もはや驚きではなく、ジンクスになってしまいました。2002年のフランスも加えると、直近5大会のうち4回で予選リーグ敗退となり、実に80%もの確率です。

一方で日本代表は、大会前のネガティブな予想を覆す活躍で、予選リーグを突破しました。皆さんは、日本代表の試合を全てご覧になりましたか?

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初戦のコロンビア戦は、大迫の活躍もあって勝利をつかみ、翌日からメディアは「大迫半端ないって」の大合唱でしたね(笑)試合開始3分に信じられない贈り物(PK獲得と相手の一発退場)があり、ほぼ一試合を通じて11人対10人で戦えた幸運を誰が予想できたでしょう。コロンビアがその後、ポーランドとセネガルに勝って2勝1敗で首位通過したことを見ても、「神風」としか言いようがありません。

wc2018-1.jpg  朝日新聞 6月20日朝刊より

2戦目のセネガル戦は、先制ゴールを許して同点に追いつき、再びリードされるも同点に追いつくという逞しい戦いぶりでした。GK川島のミスが無ければ、大迫や乾が決定機を決めていれば、という「たられば」を言えばキリがありません。途中出場の本田が貴重な同点ゴールを決めて、「持ってる」男であることを証明しましたが、目立たないながらも日本のリズムを作っていたのは香川です。相手選手の隙間に絶妙なポジションを取り、後ろからのボールを引き出し、シンプルなプレーで攻撃を活性化していました。

wc2018-2.jpg  朝日新聞 6月26日朝刊より

そして3戦目のポーランド戦は、終盤のボール回しが物議を醸しました。
引き分ければ自力での予選突破が決まる日本。ポーランドは敗退が決まっていてモチベーションが低い、という絶好の条件でしたが、後半14分にセットプレーから失点し、この時点でグループ3位に転落。同点を狙って乾を投入しますが、逆にカウンターからピンチを招くなど、とどめを刺されかねない展開でした。
状況が変わったのは、他会場で後半29分にコロンビアが先制した時です。日本はセネガルと同勝ち点ながら、フェアプレーポイントで僅かに上回り、グループ2位に浮上しました。

ここから西野監督は「攻めない」という決断を下します。勝っているチームの時間稼ぎはよくあることですが、0-1で負けているチームが「現状キープ」を選択する違和感。スタジアムはブーイングに包まれ、翌日の海外メディアの報道も批判的なものが目立ちました。しかし私は英断だったと思います。
このプランは、セネガルが同点ゴールを決めると崩壊する訳で、同点にして自力突破を目指す方が「確実」な気がします。しかし攻めに出れば、同時にカウンターも受けやすいため、失点のリスクは高まります。西野監督は日本が2点目を失うリスク、セネガルが同点に追いつくリスクを計りにかけ(確率を考え)、コロンビアを信じる他力本願に舵を切ったのです。これは、なかなか凄い決断でした。仮に失敗したら、批判を浴びるに止まらず、帰国や日常生活にも支障があったはずですから。
ポーランドが忖度し、お付き合いしてくれたこともサッカーでは「ある」ことですが、イメージ悪化に拍車がかかったのも事実です。「日本のイメージ台無し」「恥知らずな10分間」「見るに堪えない」という第3者の意見はごもっとも。でも日本は、西野監督は戦いに勝ちました。

wc2018-3.jpg  朝日新聞 6月30日朝刊より

それにしても、事前のスカウティングがあったとはいえ、先発メンバーを6人も入れ替えたことが苦戦の原因だったと思います。あれはやり過ぎでした。しかし賭けに勝ったことで、日本は主力を休ませ、控え選手を大会に慣れさせ、決勝トーナメント初戦のベルギー戦に臨みます。
2002年日韓大会と2010年南アフリカ大会は、予選リーグ突破で力を使い切り、トーナメントを戦う余力がありませんでした。突破も決まっていない状況で力を温存するのはどうかと思いましたが、西野監督は本気でベスト8を目指しているようです。
ベルギー戦は7月3日(火)午前3時です。ぜひ早起きして声援を送りましょう。

岸 未希亜

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