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2018.03.15 / 建築と住まいの話

耐震等級を考える

先月末に発売された「建築知識ビルダーズNo.32」は「耐震等級3」の特集です。第1特集「スーパー工務店に学ぶ 地震に強い美しい間取り」の中で、神奈川エコハウスが「スーパー工務店」として取り上げられました。

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ご存知ない方も多いと思いますが、「耐震等級」とは品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)の住宅性能表示制度における耐震性能の基準です。耐震等級1は建築基準法が求めている耐震性能で、耐震等級2は等級1の1.25倍の耐震性能、耐震等級3は等級1の1.5倍の耐震性能を有しています。
「木造住宅は、なぜ耐震等級3が必要なのか」と題した巻頭特集では、2016年4月に発生した熊本地震の被害状況を見ながら、耐震性の違いを浮き彫りにしています。耐震等級1で求めている耐震性能は「倒壊防止」で、大きな地震に対して一度だけ倒壊を防いで「人命を守る」というレベルです。熊本地震のように2回目の震度7に耐えられる力は乏しく、耐震等級1では「財産としての家は守れない」と書かれています。

また、木造住宅の構造安全性の検討方法には、①許容応力度設計、②性能表示計算、③建築基準法の仕様規定の3種類があります。同じ住宅を同じ耐震等級1で計算した場合、③仕様規定の簡易計算を行うと耐力壁の量が最も少なくて済み、②性能表示計算、①許容応力度設計と詳細な計算をすればするほど耐力壁の量は増えるそうです。最も手間がかからず、設計費用も工事費も抑えられるため、一般的に普及しているのは③仕様規定による構造の検討ですが、少なくとも②、できれば①での検討が必要と言えそうです。

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神奈川エコハウスは、1995年の阪神・淡路大震災以降、耐震性の向上にも積極的に取り組み、長期優良住宅制度が始まった2009年以降に施工している住宅は、ほぼ全て耐震等級3を基準にして長期優良住宅を取得しています。
しかし一方で、耐震性を高めるために窓を小さくしたり、室内空間が小間切れのようになってしまっては、家の魅力が大きく損なわれます。室内空間の広がりや、内と外の一体感を叶えながら、耐震等級3を満たすところに難しさがあるのですが、当社は「居心地や美しさと耐震性を両立」するよう努めています。

その実例として、誌面では伊勢原の家(カフェスタイルの家/2014年竣工)が掲載されています。今回改めて撮影をさせていただきましたが、4年経っても相変わらず綺麗に住まわれていて、素敵でした。

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建築物において構造はとても重要なのですが、「住宅」だとなぜか軽く考えがちです。特に柱や梁が見えない大壁の家だと、建て主も構造のことが頭から抜けてしまうのではないでしょうか?
当社では真壁でも大壁でも、しっかりとした構造で家を造っていますので、いつも中間検査後に構造見学会を実施して見てもらっています。今週と来週、ともに藤沢市で構造見学会が連続しますので、完成見学会にしか参加したことのない方も、この機会にぜひご覧ください。

岸 未希亜

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