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2017.06.30 / 建築と住まいの話

1年越しの作庭

昨夏に竣工した「敷地に馴染む「くの字」の家」が引き渡しから1年になり、1年点検に同行しました。竣工時、外構は主にカーポートとアプローチの工事にとどめ、庭は殺風景でしたが、庭師の藤木さんと建て主がじっくり計画を練って、約1年後の今月に南側の庭が姿を現わしました。

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道路が緩い坂になっているため、東側では敷地と道路の高低差はほとんどありませんが、南面は敷地が一段高くなっているので土留めが必要です。それをコンクリートやブロックで造るのが一般的ですが、自然石の石積みにすることで表情が全く変わりますね。使われているのは神奈川県の根府川石です。

これは、玄関アプローチから見た庭です。

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ポーチの前にシンボルツリーの百日紅(さるすべり)があって、庭の木々が遠くに見えるので遠近感が強調されています。家の中は見えないように格子壁で目隠しをしつつ、お庭は近所の人にも楽しんでもらおう、という住まい手の心が感じられます。外構や家の外観は、否が応でも近所の目に触れるので、自分だけのものと考えるのではなく、周りへの思いやりも大切ですし、住環境を整える責任もあると思います。
実際に、近所の人や散歩で前を歩く人からも大好評とのことで、藤木さんは早速お庭の仕事をいただいたとか(笑)。ショールームならぬショーガーデンといったところですね。

雑木と芝を組み合わせた庭の一角に、家庭菜園のスペースも用意されています。敷地の高低差を活かしながら大小さまざまな木が植えられ、家の平面が「くの字」になっていることもあって、庭の見え方も平面的ではなく奥行きが感じられました。

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家の中から見ると、これはもう絶景です。リビング、ダイニング、キッチン、和室、子供部屋、浴室のどこからでも景色を楽しめます。特に、ダイニングに座ってお茶やコーヒーを飲めば、カフェに行くよりも全然気持ち良く過ごせそうですし、ここで食べる食事も最高だと思います。

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奥様に話を聞くと、庭が出来るまでは道路からの視線をまともに受けるので、常にブラインドを下げて暮らしていたそうです。今でも、室内からは歩いている人の姿が目に入るのですが、昼間は外から室内はほとんど見えません。「これからはブラインドを上げても問題ないですよ」と言うと、奥様も外から家を見て確認していました(笑)

岸 未希亜

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