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2016.12.27 / 建築と住まいの話

鎌倉K邸 完成見学会の見どころ

年明けの1月8日に見学会を開催する「鎌倉市K邸」の見どころを紹介します。

建て主が初めて来場されたのは2013年の5月です。土地探しを始めたばかりで、まだ、どの地域に家を建てるか具体的でなかったこともあり、半年や1年空いた時期もありましたが、変わらず当社のことを気にかけてくださり、2015年の秋から計画がスタートしました。
美術大学を卒業しているご主人は、たいへん絵が上手で、普通の人とは建物を見る目も少し違いました。細部のさり気ない納まりとか、シークエンスデザイン(移動することで変化する景色)に気付き、感心されることが多かったと思います。奥様は、建築家の中村好文さんの設計に好感を抱いていて、氏が書いた『普段着の住宅術』という本を愛読されていました。

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敷地はマンションを壊した後の大きな開発分譲地です。分譲から1年以上経過していたので、既に生活が始まっているお宅もあれば、売れ残っている土地もあり、逆に好ましい感じがしました。鎌倉特有の谷戸(やと:尾根に挟まれて谷が深く入り込んだ部分)にあたる所で、全体になだらかな高低差があり、背後には山が迫っている自然豊かな環境です。風致地区の壁面後退制限もあって、一つ一つの区画にゆとりのある恵まれた住環境のため、道路側の開放感や、北側の眺望を活かす設計が求められました。

中村好文さんは「建築家」らしくない建築家で、「普通のいい家」をつくると評されたりします。生活のリアリティを押さえた何気ないデザインで、住む人にぴったり合った空間をつくるのが魅力です。その意味では私と似ている面も無いでは無いのですが(笑)、今回は中村さんの生み出す空間や、遊び心を意識しながら設計したので、いつもの家とは、ひと味違った住宅になりました。

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室内は柱を隠してすっきりとさせながら、床や天井には板張りを多用して、優しく温かみのある空間にしました。「白い壁と無垢板の床」は中村さんの代名詞でもあり、天井も白くする家が多いのですが、そこは建て主の希望と当社らしさを加味して板張りにし、デザイン的にもメリハリが生まれています。

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そして2階に小屋裏のようなスタディコーナーをつくり、その勾配天井が1階へと下りてくるダイニングの空間は、この家のハイライトです。初めにこのイメージを創ってから設計したため、標準的な2階建ての家とは違った外観になりました。
その点は建築家的な発想と言うべきかもしれませんが、ご主人や子供たちがスタディコーナーにいる時の、階下の家族との距離感や空気感が、中村さん風かな・・・と(笑) 少し奥まった場所にあるキッチンが対面キッチンでない点も、「緊張」のない緩い空気感を生んでいます。

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背後の山が目の前に迫っている2階北側は寝室です。隣家から覗かれる場所では無いので、大胆に窓を設けました。山を見ながら寝転がったり、読書をしたり、静かに過ごす居場所にもなります。

さて、今年もブログをご愛読いただき、ありがとうございました。来年も長文にお付き合いください(笑)
年末年始はスポーツイベントや旅行があるので、ブログのテーマに事欠きませんが、完成見学会も目白押しです。年明けは、皆様の予定もすぐに埋まってしまうと思い、休みに入る前に見学会のご案内をさせていただきました。
大壁のすっきりした家が好きな方はもちろん、当社のスタンダードな家が好きな方にも楽しんでいただける住宅です。ぜひ予定を空けておいてください。

岸 未希亜

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