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2015.08.11 / 建築と住まいの話

5年の歳月

2010年に鎌倉で建てた家が5年点検の時期を迎えたので、点検に同行しました。2009年に入社した私にとって初めての5年点検です。
「3つのスタディをもつ家」と名付けたこの住まいは、ご主人の仕事部屋である書斎、子供たちの勉強スペース、そして奥様のワークスペースを備えていることが特徴ですが、高台で眺望がよく、お庭が素晴らしいことも大きな魅力です。

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まるで森の中で木に包まれているような外観です(笑)5年の歳月で庭の木々が成長し、竣工時よりも格段に雰囲気がよくなりました。車を使わないご家庭なので、自転車を4台置ける駐輪場を設けていますが、竣工時はやや目立ったこの東屋も、庭に見事に溶け込んでいる印象を受けました。

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竣工時の写真と比べてみると、その差がよく分かります。板壁の色落ちが少し見られますが、時間の経過とともに陳腐になるのではなく、次第に味わいが増していき、この土地に馴染んでいく建物だと思います。

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玄関ポーチから庭を見下ろしたところです。高低差の大きな敷地だったため、庭の中を歩くようにアプローチを蛇行させている点が秀逸です。玄関までの道のりに変化と昂揚感があって、いつ来てもわくわくさせられます。計画してくれたのは、度々ブログでも紹介している造園家の藤木さんです。ここまで立派な庭はそうありませんが、庭や玄関周りがしっかり造られていると、家が何倍もよく見えますね。

お施主様とお会いするのは約1年半ぶりで、先ずは私が1年前から伸ばしている髭に「どうしたんですか」と反応されました(笑)
5年前は中学生と小学生だったお嬢様は、揃って高校生になっています。外出中だったので話をすることはできませんでしたが、お姉ちゃんに続いて妹も私の後輩になっているということで、何だかとても親しみを感じました。私が同じ高校を卒業したのは25年も前のことですが・・・。
ご両親によれば、妹さんは受験に向かって成績が向上し、見事にお姉ちゃんと同じ高校に合格したそうです。子供部屋の外に姉妹のスタディーコーナーをつくったのが、効いたかもしれませんね(笑)

室内は、柱や梁が焼けて落ち着いた色味になりましたが、雰囲気は1年目と全く変わりません。物を増やさず、すっきりと暮らされているためだと思います。

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この家は書斎以外にエアコンがなく、猛暑の今夏、風が無い日は流石に辛かったようですが、夜は1階の和室で寝てみたら、逆に明け方は寒くて起きてしまうこともあったそうです。人によって差があるので、あまり無理をしないでリビングにもエアコンを設置してください、とお話ししました。他にも奥様が現在されている仕事の話や、私の家族の話など、他愛もない会話を楽しむことができました。

また、リビングには旅のガイドブックが3冊も置いてありました。ふつうに仕事のある奥様も、部活や文化祭の準備で忙しい姉妹も、休みを合わせて3人で旅行に出掛けるとのこと。行き先は私もよく知っている場所だったので、お勧めのスポットを教えて差し上げたのですが、先日までドイツに出張していたご主人は、飼っている兎とお留守番だそうで、少し寂しそうでした(笑)

岸 未希亜

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