現在、書店に並んでいる「Home & Decor BY THE SEA 06(ホームアンドデコール バイザシー)」に、当社で建築した住宅が掲載されました。
海外のテイストを採り入れた住宅や、海辺のリゾートを感じさせる住宅が取り上げられることの多い雑誌なので、神奈川エコハウスの住宅はやや特異な存在なのですが、今回の住宅はいつもと違います。
ガルバリウム鋼板を使った真っ黒な外壁も異質ですが、屋根の軒も出していません。軒を出さない箱のような形にしたい場合、外壁を汚れにくいガルバリウム鋼板にするのは理に適っています。
また、真っ黒な外壁はマニッシュ(男性的)な印象を強くするので、軒とベランダで囲まれた南側、勝手口のある西側だけは白く塗装し、優しい印象にしました。南面は軒、庇、ベランダによって、日中の日差しを抑制するパッシブデザインです。
そして室内は、白い壁と天井がどこまでも広がり、柱や梁が少しも見えないすっきりとした空間なのです。そんな訳で、この家のタイトルは「黒い箱の白い家」にしました。
昨年の9月に完成見学会をした住宅なので、覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、隣の敷地には、5年前に当社で建てた両親の家があります。その娘である建て主の希望は、木をふんだんに使うことよりもモダンなデザインにありました。当社の得意とする木組みの家とはテイストが違いますが、ご両親が神奈川エコハウスの設計や施工を信頼してくださっていたお陰で、モダンな家にもチャレンジさせていただきました。
1階は、ホームパーティー等で家に人を呼ぶことが多いため、広いリビング・ダイニングに加えて畳コーナーを設けたり、キッチンの対面にバーカウンターを設けるなど、幾つもの居場所を用意しています。
ご主人からは「どこでもいいので」と前置きしながら、「水槽を飾る場所と水替えのできる流し」の要望があったため、LDKと連続しながら少し落ち着ける場所を確保し、「広縁」と名付けました。
2階には小さな吹抜けがあって、リビングの開放感と風通しを助けています。
南側はご両親の家があるので眺めはよくありませんが(笑)、北側は隣に栗畑が広がり、遠くに大山をはじめとする山並みを望むことができるため、横長の窓を設けてピクチャーウインドウにしました。
このように、当社のスタンダードとは異なる部分が多くありますが、建て主が望むイメージを実現するために、設計者も監督も大工も、頭と手をフル回転させました。神奈川エコハウスは「シンプルモダンもできる」ことを、ぜひ覚えておいてください(笑)
岸 未希亜