ブログ

2014.10.06 / 建築と住まいの話

大和S邸完成見学会の見どころ

今週末に完成見学会が行われる「大和市S邸」の見どころについて解説します。

お施主様との出会いは、当社で家を建てられたオーナー様からのご紹介でした。「神奈川エコハウスの家は夏も冬も居心地良く、四季を過ごしてみて満足している」ことや、真面目な家づくりをしている当社並びにスタッフ一人一人のことを褒めていただいたそうで、お施主様も安心して当社との家づくりに臨まれました。
この家の見どころは幾つかありますが、夫婦共用の立派な書斎がある点は大きな特長です。特に早寝早起きのご主人は、夜明け前には書斎に入ることが習慣になっているので、この家のテーマは「書斎で夜明けを迎える家」としました。

その他、建て主には幾つかの大切な要望がありました。
一つ目は、明るさと開放感のある気持ちのよい住まいにすることです。

yamaS1.jpg

この敷地には以前、住宅とアパートの2棟が建っていたので広さには比較的余裕があり、東と南に道路が接しているので条件的には恵まれていますが、道路幅が狭く、隣地の建物もすぐ近くに建っている住宅密集地です。以前お住まいの住宅は間口が狭く、室内の半分以上が薄暗かったということで、明るさと開放性のある住宅は建て主の念願でした。

そこで建物を東南に開いたL字型にし、その建物を敷地の北西に寄せました。

yamaS2.jpg ※外観写真は直前に差替え予定です

東と南に広い空間を残すことで日当たりの良さを確保し、道路からの距離を取ることによって生活空間に落ち着きを与えています。
また道路が狭いので外構もできる限りオープンにし、近隣の方々にも光や風、緑を感じてもらえるようにしています。リビングや物干場は、道路からの視線を遮るために板塀を設けていますが、閉鎖的にならないよう側面に生垣を配したり、東側は側道の植込みのような設えにしました。

二つ目は、コンパクトでありながら狭さを感じないLDKです。

yamaS3.jpg

面積だけを見れば、リビング・ダイニングで11帖の広さしかありませんが、ソファーを置かない床座スタイルのリビングなので問題なく過ごせますし、大きな窓から縁側や庭へと空間が連続するので、窮屈さを感じません。

yamaS4.jpg

客間としての用途が強い和室は、リビングに対して完全なオープンではありませんが、広幅の襖を引き込めばリビング・ダイニングと一体感の持てる空間構成になっていて、大きな広がりを感じます。

三つ目は、和の意匠にも気配りしたことです。以前に華道を嗜んでいたという奥様は「和室らしい」和室を望まれました。

yamaS5.jpg

そこで床の間には杉磨き丸太の床柱、面皮カシュー黒塗りの床框を用い、押入の襖には雲母入りさざなみ模様の和紙をあしらいました。また、高さの異なる窓が並んでも違和感のないように、横組障子のデザインで障子の組子を揃えているのもポイントです。

さらに、下足箱の襖には「江戸からかみ」を使いました。

yamaS6.jpg

唐紙は、板木(はんぎ)と和紙と摺り色の組み合わせで様々な表情をつくり出す日本の伝統デザインで、桂離宮から市井の町家にまで使われていました。非常に高価なので滅多に使う機会はありませんが(笑)、この「さつき」柄の唐紙は必見です。

四つ目は、キッチンに隣り合う勝手口付きの食品庫です。

yamaS7.jpg

建て主は生協を利用されていて、その宅配ボックスを置く場所が必要でした。場所を取るため、玄関脇に置くのは何かと支障がありますが、勝手口なら気になりません。しかも玄関からは見え難い上に東の道路にも近いので、ゴミ出しも含めて非常に機能的な勝手口動線になりました。これもぜひ体感してください。

そして前述した、日の出を拝むことのできる本格的な書斎です。

yamaS8.jpg

ご主人は考古学のお仕事をされていて、ご自宅には多くの資料や書籍を所持されています。奥様もライフワークにしている活動があってご自宅でのデスクワークが多く、以前のお住まいでも共用の書斎でご夫婦が多くの時間を過ごされていました。
子育て世代の家族は多くの時間をリビングで過ごしますが、子育てを終えたベテランのご夫婦にはいろいろな過ごし方があります。
今回の計画では、そんなご夫婦のライフスタイルを踏まえ、広さを抑えたダイニング中心のLDKをつくるとともに、視界の開ける2階東南角のベストポジションに、セカンドリビングともいえる書斎を配置しました。
持ち込みの本棚が入っていないので、書斎らしさはまだありませんが、ここで過ごす日常を想像しながらご見学ください。

岸 未希亜

Category
お知らせ
建築と住まいの話
よもやま話
ロコハウス
書籍・メディア掲載
Archeives