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2013.09.10 / 建築と住まいの話

「茅ヶ崎H邸」 完成見学会の見どころ

今週末、9月15日に完成見学会を行う「茅ヶ崎H邸」について解説します。

 お施主様は若いご夫婦と小さなお子様の3人家族で、当社の家づくりにぴったりのお客様でした。それと言うのは、「これだけは叶えたいことは何ですか?」という問いかけに対し、「健康に暮らせること」「夏涼しく冬暖かい(風通しがよく日当りがよい)」「近隣の音や視線を気にすることなく暮らしたい」「収納が充実していること」というお答えをされたからです。
このような質問をすると、もっと具体的な「要望」が出てもおかしくないのですが、家づくりの幹の部分を大切に考えていることが伝わってきました。
しかしながら「要望」が少なかった訳でもありません(笑)。家づくりの中心は奥様でしたが、子供のことを想い、夫のことを想い、そして自分がする家事や暮らしのことを想って、要望書をまとめてくださいました。要望の一つ一つを読むと、このご家族の生活が思い浮かぶような丁寧な書き方で、設計者としてはとても腕の振るいやすい要望書でした。

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見どころは幾つもありますが、特に主婦目線の工夫が共感を呼ぶのではないかと思います。そう、この家のテーマは「最高の家事動線をもつ家」なのです。

一つ目は、玄関内に設けた洗面台です。この家は2階に洗面所と浴室があるため、外から帰った時の手洗い・うがい、お客様のためにも1階に独立した洗面スペースが必要でした。リビングから丸見えの洗面台は嫌ですが、玄関にある洗面台は意外と空間に溶け込みます。これは私の自邸で取り入れた手法でして、妻からもお友達からも好評ですので、ぜひご覧ください。

二つ目は、キッチンの隣に設けた家事コーナーです。「キッチンとリビングの間に」というご要望があったので、閉じた部屋にはせず、家事動線の途中にカウンターデスクを造り、本棚や間接照明の明るい手元灯も設けました。こんなスペースを見てしまったら、誰もが欲しくなってしまうこと間違いなしの空間です。

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三つ目は、パントリー(食品庫)とユーティリティ(洗濯室)を兼ねた勝手口スペースです。ご主人の作業着を室内に持ち込むことなく洗濯できるよう、洗濯機と洗濯流しを備えたユーティリティに勝手口を設け、帰宅の動線と集約しました。その横にはパントリーがあるので、食品の買い出しから帰った時もこの勝手口動線が便利です。

四つ目は、洗濯物を外にも室内にも干せることです。2階にバルコニーを設けているので、普段はここに洗濯物を干しますが、天気の悪い日や花粉が飛散する時期などは室内干しができるよう、2階南側にスタディコーナーを設けました。家族用の洗濯機が2階にある(洗面所が2階)ため、洗濯動線が水平移動だけなのも主婦にとっては楽だと思います。

また、子供の勉強にも使われるこの空間が1階と断絶してしまうのは心配なので、床をスノコ状にしています。こうすると音も聞こえますし気配が伝わるので、親子双方にとって安心感が生まれます。馴れないと歩くのがちょっと怖いかもしれませんが、ぜひ体感してみてください。

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以上の主婦目線とは別に、床を一段高くした和室とリビング・ダイニングの空間的な広がりも見どころです。
和室の下に引出し式の収納を設けている例を見たことがあると思いますが、ここでもそれをやっています。リビングにはシンプルな大工造りのテレビ台があり、テレビの背面壁を間接照明で明るく照らしているのも綺麗です。

この他にも寝室天井の間接照明、子供室の天袋収納など、暮らしやすさとデザインが違和感なく融合していると思いますので、ぜひその目で確かめてみてください。

岸 未希亜

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