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2013.06.05 / よもやま話

ワールドカップ出場決定

昨日のFIFAワールドカップ・アジア最終予選「日本vsオーストラリア」はご覧になりましたか?
日本代表の国際Aマッチは、やはりライブ観戦が基本です。私も、いつもより随分と早く帰宅して夕飯と入浴を済ませ、家族全員でテレビの前に座りました。

試合結果は皆さんご存知のように、終盤に先制される苦しい状況で辛くも引き分けることが出来て、日本は5大会連続5度目の出場を果たしましたね。今では「出られて当然」という雰囲気があり、選手たちも自信をもってプレーしているので、土壇場で追いつくことができたのだと思います。

思い返せば「出られなくて当然」の時代が長く続きました。
自分が小学生の頃、ワールドカップは世界の強豪国や一流選手が集まる大会で、日本人からすると別世界の出来事でした。子供ながらに西ドイツのベッケンバウワー、オランダのヨハン・クライフ、アルゼンチンのマリオ・ケンペス、イタリアのパオロ・ロッシ、ブラジルのジーコ(あのジーコの全盛期は1982年のスペイン大会でした)というスーパースターの名を覚えて、真似をしたものです。
日本代表はアジア予選でいつも苦杯を舐める状態で、一般国民にとっては全く関心のない出来事だったと思いますし、サッカー少年にとっては「出られなくて当然」の高い壁を感じていました。

そうした苦い歴史に風穴があいたのが、1993年のアジア最終予選でした。

worldcup2.jpg   Sports Graphic Number 327より

もう20年前の話とは信じられませんが、カタールで起きた「ドーハの悲劇」です。勝てば初出場が叶うイラクとの最終戦で、2-1でリードして迎えた終盤、「おいおい本当に日本が出ちゃうよ」と嬉しさとも戸惑いともつかない感情の置き場に困っていたところで、ロスタイムにイラクの同点ゴール。しばらく言葉が出て来なかった記憶が蘇ります。

そして16年前、再び初出場をかけたプレーオフのイラン戦は中立地のマレーシアで行われ、「ジョホールバルの歓喜」として有名です。

worldcup3.jpg   Sports Graphic Number 432より

イランに逆転を許した苦しい展開のなか、城彰二の同点ゴールが決まって延長戦にもつれ込み、中田英寿が放ったシュートのこぼれを岡野雅行が蹴り込んだ延長Vゴールの瞬間、「本当に日本が出ちゃうんだ」と信じられない気持ちだったのを覚えています。

さて昨日の試合では、試合時間も残り僅かという所で先制ゴールを許してしまい、誰もが「今日は駄目か・・・」と思ったはずです。自分も60%の確立で負けるかなと思う一方で、可能性を信じる気持ちもありました。それは過去にないほど選手が逞しく、自信が漲っている選手が多いからです。そして実際、諦めずに攻めた結果のPK獲得。「ハンドだ!」と日本中が突っ込みを入れましたよね(笑)。
さらに日本中が固唾を飲んで本田のキックを見守り、ゴールの瞬間に爆発しました。わが家もご多分に漏れず、近所に聞こえるぐらい大きな声で叫んでいました(笑)。

worldcup.JPG   朝日新聞より

あの場面でPKを決めるのは想像以上に凄いことです。経験者なら知っていると思いますが、PKはキッカーが有利なため、誰もが「入れて当たり前」という感覚を持っていて、その呪縛からミスをすることがよくあります。プロでもないアマチュアの試合であっても、勝負がかかった重要な場面でPKを蹴る時は緊張で硬くなるものです。自分の例を出して恐縮ですが、優勝のかかった東京都リーグの試合で、0-1とリードされた場面でPKを蹴った時、いつも蹴っている方向と逆に蹴って止められたことがあります。いつものコースだと止められるのではないか、と自信が持てなかった時点で負けていたのでしょうね。
だから、昨日のゴールは本当に称賛に値します。ゴールキーパーが飛ぶのを見越して正面に蹴った本田の勇気と冷静さには脱帽です。経験者としてそう思います(笑)

さて1年後の本大会に向けての注目ポイントは、個の更なるレベルアップと日本の戦術です。欧州や南米では、大陸予選から世界基準の戦いが繰り広げられていますが、世界基準の国がいないアジアでは日本が強豪国の立場になってしまい、アジア予選と本大会では日本の立ち位置が大きく変わってしまうのです。これからの一年は目先の勝ち負けに一喜一憂せず、ザッケローニ監督のチームづくりを見守り、本大会での活躍に期待しましょう。

岸 未希亜

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