小春日和の快晴に運良く恵まれ、丹沢山地ヒノキ・スギの森を訪れました。
場所は秦野からヤビツ峠に向かいさらに車で2.5km先に百年檜の森があります。この森は諸戸林業の938haの自社所有山林で明治31年より当時の政府要人:大隈重信の要請により植林を開始。紀州の苗木を採用し、二宮港から馬車・馬の背で植栽場所まで運搬、現在まで5~6回の間伐を繰り返しています。樹種は檜80%、杉20%の割合で長期計画育林によって100年生檜に成長し、出荷の時期を迎えています。
諸戸林業BOSCOキャンプ場に到着すると紅葉が僕らを迎え入れてくれている様でした。奥深い緑に囲まれた雄大な自然で「神奈川の美林50選」にも選出されています。清らかな名水と澄んだ空気が訪れる人々を癒してくれます。
まず初めに明治建造の事務所棟で歴史の重みを感じながら森の説明を受けました。森の計画的な枝打ちと間伐が改めて重要な事だと認識し、現在工事中である歌舞伎座の舞台にも採用された檜材も見学出来ました。
森の中へ入り、間伐された森林では地表面まで光が届き、下草が生息しています。樹木がしっかり大地に根を張り、下草が生息された地表面は森林土壌のスポンジの様な機能で土砂の流出を防いでくれるのです。
いよいよスギ・ヒノキの樹木の伐採です。まずはスギからです。職人はチェーンソウと楔だけで目的の位置へ倒しました。倒木した時の重みのある地響きが今でも忘れられません。木口を見ると赤みがある年輪を確認し触ると水分を非常に感じました。杉の葉を見ると葉の先端に春先に飛散する花粉のつぼみがありました。
つぎはヒノキです。100年来の材となると貴重な自然の資源だと改めて感じました。
スギと同様に倒木しましたが、スギより軽い地響きだった様に感じました。木口からはヒノキの香りが漂い、白い年輪で水分がスギよりも少なく感じ取れました。ヒノキの葉は平べったいのが特徴です。当社の若手スタッフも樹木や葉を見て、ヒノキとスギの違いが解る様になった事を嬉しく思いました。
山の丸太は葉がらし乾燥し、市場から製材所へ運ばれます。丸太を一次製材し、乾燥させ二次製材し強度を機械でチェックし建材となります。
今回の研修では、植林の歴史から建材に至るまでを感じ取れる大変良い研修会でした。地域の木材を使った家造りが林業の活性化に繋がり、森林の環境を守る為に欠かせない事なのだと改めて感じました。
内島 敏夫