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2017.01.18 / 建築と住まいの話

平塚D邸 完成見学会の見どころ

今週末に見学会を開催する「平塚市D邸」の見どころを紹介します。

建物とは直接関係ありませんが、今回は建て主の移動距離が長かったことも特筆に値するので紹介します。
建て主が初めてコンセプトハウスに来場されたのは一昨年の秋です。その当時、建て主ご家族は埼玉県鴻巣市にお住まいでしたが、建設地が平塚市のため、週末に何度も神奈川県まで足を運び、工務店探しをされていたそうです。幾つもの会社を見た後で当社に来られたこともあり、コンセプトハウスをとても気に入ってくださり、構造見学会の参加や建築敷地の確認へとトントン拍子に進みました。

しかし年が明けるとご主人が名古屋に転勤になり、打合せの週末は名古屋から鴻巣に戻って、改めて家族と一緒に藤沢まで来るというハードスケジュールになりました。さらに、4月になるとご家族も名古屋へ引っ越され、引越し後の2回は私が名古屋へ伺いました。平塚に実家があるので、その後は1泊2日で打合せに来ていただきましたが、長距離の移動は大変だったと思います。

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敷地は典型的な旗竿敷地で、道路との接道が2mしかありません。2mずつの旗竿部分を隣家と共有する形にして、車を前後に置いている状況でした。一方で家が建っている部分は比較的広く、小さな池のある庭も残っていますが、周囲を家に囲まれているため、やや閉塞感のある印象を受けました。

今回の計画は、ご主人の実家で一人暮らしをされていたお父様が、建て主家族と一緒に暮らす住宅なので、最大の特徴は「三世代同居の住まい」ということです。
奥様と義理のお父様が気を遣い過ぎないように、初めは玄関を起点にエリアを左右に振り分ける提案をしました。しかし、玄関が中央に来ることで庭が分断される点、広いバルコニーを造ろうとすると、玄関の上に防水バルコニーを造るしかない点が懸念材料でした。
そこで、「お父様がリビングを通らずに玄関へ行く必要はない」という話を受け、玄関を建物の端(旗竿部分に最も近い位置)に寄せ、リビング・ダイニングの奥にお父様の部屋を配置した第2案をつくりました。それが現在のプランです。庭に面した大きな窓と吹抜けによって、全体が明るく開放感のある住まいになりました。

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三世代同居に加えて、ご主人のお姉様家族が来ることも多いので、リビング・ダイニングはもちろん、キッチンも少し余裕のある広さにしました。建具を引き込めばダイニングとの一体感があり、建具を閉めれば独立するキッチンで、洗面室への裏動線も機能的です。

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2階には、家事や読書などができる奥様用のフリースペースを設けました。吹抜けを介してリビングとの繋がりも感じられ、お父様と適度な距離感を保てます。お父様の部屋は、2階の声や足音が響かないように下屋部分に配しました。当然のことながらトイレはすぐ近くに設けてあり、生活は1階で完結します。

旗竿敷地だったため、工事をする上で庭の一部は撤去せざるを得ませんでしたが、可能な限り、庭の樹木や北側にある柿の木を残すようにしました。場所の記憶を引き継ぐことで、お父様にはもちろん、近所の方にとっても、新しい家が違和感を持たれないように心掛けたつもりです。

この家は、中央に吹抜けのあるオーソドックスな間取りで、だからこそ柱や梁の見え方も整然として綺麗です。三世代同居を検討中の方はもちろん、木組みの家をお考えの方にもお勧めの見学会です。

岸 未希亜

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