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2015.09.11 / よもやま話

八重山諸島で夏休み2

家族で夏休みを過ごした八重山諸島(沖縄県)レポートの第2弾。
2日目は竹富島(たけとみじま)に行きました。石垣島から目の前に見えるこの島こそ、この旅行で私が一番行きたかった場所です。それは、島の中央にある集落が重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建地区)に選定されているためです。

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私が「重伝建地区」の存在を知った今から約20年前、まだ保存地区は全国に40しか存在せず、「いつか全部見に行くぞ」と思った私が、当時一番の難関だと感じたのが竹富島でした。今では重伝建地区は100を超え、全てを見ることは難しくなりましたが、藤沢から最も遠い竹富島に降り立った時、ようやく念願叶ったという嬉しい気持ちになりました。

まずは、水牛車に乗って集落を回りました。

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独り旅だったら恐らく乗っていないと思いますが、家族と一緒だったので定番コースに身を委ねました(笑)
一昨日の台風によって、本来なら咲き乱れているはずのブーゲビリアが吹き飛んでしまったのは残念ですが、車が動き出してすぐに水牛が糞をしたため、バケツ一杯の糞と30分も一緒だったのは貴重な体験でした。また、ガイドのおじぃが笑いを交えて集落の解説してくれたり、三線(さんしん)を弾きながら課題曲と自由曲を唄ってくれたので、案外楽しめました。

その次にレンタサイクルを借り、町並みを通りながら海岸へ向かいました。

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最初に訪れたのは「星砂の浜」とも呼ばれるカイジ浜です。潮の流れがあって遊泳に向かないビーチということで、自然に満ちた環境が保たれています。

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星砂(星の形をした砂)を採取するためにジャムの空きビンを持って来たのですが、星砂は容易に見つからず、土産物屋で買うことになりました。
その隣にあるコンドイ浜は海水浴場です。妻と娘をこのビーチまで連れて来て海水浴の準備を整えたところで、私は重伝建地区に引き返しました。島での目的が違うので、やむなく(喜んで)別行動です(笑)

竹富島の集落は、沖縄の伝統的民家の姿をよく留めており、かつての沖縄が凝縮しているとも言われます。

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特徴としては、敷地の周囲に築いた珊瑚の石垣があり、建物は平屋で、屋根は漆喰で塗り固めた赤瓦葺きの寄せ棟です。いずれも台風銀座と言われるこの地域ならではの風対策の表れです。
フーヤと呼ばれる母屋と、トウラと呼ばれる台所が別棟になっているのも沖縄や九州の民家に見られる特徴です。

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この「分棟型」は古い形式で、生活様式の変わった現在では、両棟を合体させて屋根をつなげた家も見られます。
正面は石垣が切れただけの開けっ放しの門構えがあり、少し下がった所にヒンプンと呼ばれる塀が立っています。

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ヒンプンは魔除けの意味があるそうですが、目隠しや風除けの面でも機能的で、家に入る時は左右どちらかに避けて回り込みます。
魔除けと言えば、門に対した正面の屋根にはシーサーが鎮座しています。

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シーサーは「獅子」を沖縄方言で発音した呼び方で、建物の門や屋根の上に載せられ、家や人に災いをもたらす悪霊を追い払う魔除けの意味があります。竹富島では瓦職人が余った漆喰を使って作ったものだそうで、一つ一つ違っているのはもちろん、どれも個性的でおどけた表情をしています。

島の中心部には「なごみの塔」と呼ばれる物見台があります。僅か標高24m(塔の高さは4.5m)の低い塔に登るだけで、眼下の集落はもちろん、遠く西表島まで望むことができ、竹富島がいかに平らな島であるかを実感できます。

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物見台に立てるのは二人がやっとで、階段も細くて急なため、観光客が多い時は30分待ちやそれ以上の行列ができてしまうそうです。

独りで町並みを散策した後は、コンドイ浜に戻って娘たちと海水浴。

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遠浅の海岸なので、海底の白砂が海の色をエメラルドグリーンに染めています。自分よりも沖にいる人たちが、浅瀬で座っているのが奇妙な感じでした。

夜は、島料理が食べられる石垣島の居酒屋へ出掛けて夕食。ホテルに戻ると、ロビーでは地元の民謡歌手がミニコンサートを開くところでした。

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歌舞伎役者の中村獅童に似た男性歌手と、日中はバスガイドをしているという女性歌手の島唄がとても心に響き、会場も大いに盛り上がりました。明日は小浜島へ行きます(つづく)

岸 未希亜

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