ブログ

2015.06.08 / 建築と住まいの話

世田谷T邸 完成見学会の見どころ

今週末に見学会を開催する「世田谷区T邸」の見どころを紹介します。

建て主と初めてお会いしたのは、約9ヶ月前の構造見学会でした。既に幾つかの住宅会社を回られていたので、住宅に関する基礎知識を身に付けられ、敷地に対するお考えやご自身の想いが明確になっていました。見学会では建物を見るというよりも、ご自身の計画について熱心に語られ、相談会のようになっていたことが思い出されます。
その数週間後、新築住宅と築4年住宅のダブル見学会にも参加された建て主は、特に築4年のお住まいを見たことで、当社への評価を高めたそうです。

敷地は東京都世田谷区でありながら、川沿いに遊歩道のある自然環境に恵まれた立地で、閑静な住宅地の端に位置していることが、かえって落ち着きのある好ましい環境になっていました。

tka1.jpg
tka2.jpg

一方で敷地形状は南北に細長く、斜線制限などの法規制から建物の形や大きさは自ずと決まってしまう条件です。建て主が他の会社に作ってもらったプランを見ても窮屈な印象は否めず、外観にいたっては絶望的な姿をしていました。

先ずは、前述の河川と遊歩道に向かって視線の抜ける場所があり、反対側に小さな森があることにも魅力を感じていた建て主の想いを共有するところからスタート。

tka3.jpg

その自然を最大限に享受するため、1,2階ともに、南西のコーナーと東側に窓を設けました。コーナーの2面を開口することで開放感が増し、景色を室内に取り込みます。写真では室内からの眺めが伝わらないので、ぜひ現地で確認してください。

tka4.jpg

間口は2間半しかなく、LDKに十分な広さが取れないこともあり、キッチンは対面でなく壁向きの配置にしました。調理や片付けをしながら緑を眺められる気持ちの良い場所です。
襖を引き込むことでLDKと一体になる小さな和室があり、空間の広がりを感じる一方で、襖を閉めると小ぢんまりとして、逆に居心地の良さを感じます。

2階はLO-CO HOUSE方式で、登り梁を使って野地板を天井にした木質感あふれる空間です。

tka5.jpg

寝室の壁は、コテ跡を残しながら漆喰入りの珪藻土を塗っているので、漆喰とは違った温かみを感じることでしょう。窓からの眺めは1階以上に良いので、これも現地でご覧ください。

奥様がタイルやクロス選びを楽しまれたのもポイントです。

tka6.jpg

1階トイレの手洗いは、モザイクタイルで正面の壁一面をアクセントにしました。2階洗面室は、メキシカンタイルという一風変わったタイルを使って洗面台を造っています。予備室の収納建具と、2階トイレの壁には輸入クロスを貼ることで、華やかな雰囲気をつくり出しています。

洗面室と浴室のすぐ外にバルコニーがあるのも特徴です。

tka7.jpg

バルコニーは物干場なので、洗面室から直に出入りできる動線はとても便利ですし、浴室の窓前に鉢植えを置くなどして目隠しをするのにも効果的です。
そして、このバルコニーが唐突に取り付けられた印象を与えないよう、外壁を凹ませてバルコニーを挟みこむ形にしました。この家のタイトルを「バルコニーを挟みこむ家」と名付けたのは、外観を形づくる上でも重要だったこの部分に敬意を表してのものです(笑)

現時点では未完成ですが、見学会の際には外構もほぼ完成していると思いますので、室内からの眺めと併せて外から見た全体像もお確かめください。

岸 未希亜

Category
お知らせ
建築と住まいの話
よもやま話
ロコハウス
書籍・メディア掲載
Archeives