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2014.01.21 / 建築と住まいの話

茶室と音楽室のある家

先週末に東京都大田区で行われた完成見学会は、当ブログで「予告」する予定だったのですが、その時間が取れなかったので「報告」に変更させていただきます。

東京での開催ということで、「予約される方は少ないだろう」と考えていたのですが、予想に反して当日は8組ものお客様にご来場いただき、たいへん盛況でした。

都内でお住まいを考えている方や、都内に限らずこれから土地を探す方にとっては、「30坪の土地にどのような家が建つのか」という点に大きな関心があったと思います。
見学者の感想として多かったのは、「明るい」「広く感じる」「収納が多い」「木に囲まれていて落ち着く」などの他、「固定階段で昇れるロフトがいい」「窓からお隣の蜜柑の木が見えるのがいい」という声もありました。
また音楽室を検討されているお客様もいて、音楽室に関する質問も多数いただきました。

それでは、この家の見どころをダイジェストでお届けします。

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家の幅は北側で3間半ありますが、道路側では3間に絞り、東側に玄関へのアプローチを確保しました。すぐ目の前に道路があるため、バルコニーとリビング前のデッキに竪格子をつくり、目隠しとしています

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玄関正面の壁一面に造り付けの棚があります。音楽家の奥様が所有する楽譜やCDを収めるための棚で、音楽室への動線をライブラリーにしました。リビングの窓から差し込む日差しが眩しいくらいです

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1階に音楽室と水回りを設けているため、リビングは10帖に満たない小さな空間です。しかし座卓を囲むスタイルは、食事が終わって家族で寛ぐ時も場所を替える必要がないので、これで十分といえます

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リビングの一角に小さめのソファを置くことができます。
ここからテレビや庭木を眺めます

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二重の防音ドアで仕切られた音楽室は、専門業者の音響設計・防音工事によってプロの使用に耐える空間になっています。
内装仕上げは当社の施工で、床は桧フローリング、壁は漆喰です

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階段を昇ったところは広々とした空間で、書斎コーナーを設けています。ロフトに昇る固定階段は蹴込板のない透かし階段で、意匠的にも空間のアクセントになっています

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2階南側には、ホールと和室にまたがる大きな窓があります。光や風を遮断してしまう廊下をなくしたことで、2階北側や1階に光や風を届けています。四方を隣家に囲まれても、明るく、広く感じられるのは、この空間があるためです

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襖を開ければ和室とホールは一体空間で、リビングのように使うこともできます。
鴨居の上に壁を造らずに浮かせているのは、曲がり梁をよく見せるためです。建て主ご夫妻は津久井の製材所に足を運び、10本ほどの梁からご自分の目でこの1本を選ばれました。もちろん神奈川県産材です

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茶道を嗜むご主人の希望で設けた炉のある茶室です。壁は土壁の雰囲気が濃厚なわら入り聚楽を塗り、和紙を裾貼りしました。床柱は京都北山杉の天然絞り丸太で、ご主人は実際に京都に足を運び、「本仕込み」という枝打ち作業をご覧になられています

プラン作成から詳細の打合せまで、比較的短めの期間に多くの内容を盛り込んだので、打合せはいつも長時間に及びましたが、こうして建物が完成し、お客様の喜ぶ顔が見られたのは本当に嬉しいことです。
この家が、これから始まる新しい暮らしに早く馴染んでくれることを祈りつつ、数ヶ月後に訪問するのを楽しみにしたいと思います。

岸 未希亜

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