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2012.04.17 / 建築と住まいの話

「鎌倉市H邸」完成見学会の見どころ

今週末、4月22日に完成見学会を行う「鎌倉H邸」について解説します。

初めに土地探しについてのエピソードを紹介します。

お施主様は家を建てるにあたって、気に入ったこの住宅地に借家を求めてしばらくお住まいになり、住環境がよいことを実証した上で土地を探されました。
家づくりに対する長期的なビジョンがあってのことですが、これから暮らし続ける住環境を自分の肌で感じておくのは理想的なことです。

敷地は整然と区画された高台の閑静な住宅地で、周りを森が取り囲む自然豊かな環境です。付近一帯が北下がりの斜面地のため、ブロックの一番北側に位置するこの敷地は道路から2m以上高く、角地でもあるため建物がたいへん目立ちます。

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この住宅のタイトルは「シーンに合わせて変化する、子育て世代の家」です。

育ち盛りの男の子2人がいる4人家族は、打合せの場もいつも賑やかでした。
しかし奥様は家事に子育てにと大変ですので、暮らしやすさを考えた、家事や生活動線にストレスのない間取りが重要になります。勉強熱心な奥様は、プラン確定まで妥協がありませんでした。


そんな訳で、プラン確定までのエピソードも紹介します。

初回のプラン提案をした時、少し希望と違った箇所があったので、打合せの場で間取りを直して納得のいく形にまとめました。
しかし1週間後の打合せで、リビングとダイニング・キッチンの位置を入れ替えたいとのお話。これに2階を大きくする要望も加わったので、かなり頭を悩ませましたが、再びその場で希望に叶う間取りに修正して、納得のいく形を提案しました。

そして2週間後、新たな要望を考えてしまった奥様から「実は・・・」と切り出され、ドキッとしましたが、今度は即座に解決できる内容だったので、胸をなで下ろしました(笑)

こうして出来上がった間取りは、非常に完成度の高いものになりました。
実は、よく練られた最初のプランに部分的な要望を加えていくと、基本的には完成度が落ちていくものです。しかし今回は、お施主様の要望によって逆にプランがよくなったと実感しています。
経験上、これは珍しいことです(笑)

住宅の特徴的な部分の一つは、和室の代わりにプレイルームを造ったことです。
泊まり客がいない家庭であれば、子供のおもちゃを置く部屋と化している和室を、初めからプレイルームとして1階の遊び場にしてしまうのは現実的な選択で、子育て世代ならではの間取りと言えます。
子供が大きくなったら、夫婦が趣味の音楽を聴いたり演奏したりする音楽室に転用することも想定しています。

また、夫婦の寝室を2つに区画できることも特徴です。
子供が寝てから一寸独りになれる時間は大切です。完全な別室にするのは抵抗がありますが、建具で仕切るフレキシブルな空間は、子供部屋だけでなく夫婦の寝室としても理想的かもしれません。

収納スペースも充実していて、たいへん生活のしやすい住宅になっています。

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もう一つ見ていただきたい点は、北側にあるリビングとその上にある吹抜けの開放感です。「リビングや吹抜けは南にあるもの」というイメージが支配的だと思いますが、この北側にあるリビングとリビング階段+吹抜けが生み出す気持ちよさを、多くの人に体感していただきたいと思います。

今回紹介する住宅は、様々な点で家づくりの参考になる事例ですので、
ぜひ見学会に足をお運びください。

岸 未希亜

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