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2016.07.13 / 建築と住まいの話

藤沢M邸 完成見学会の見どころ

今週末に見学会を開催する「藤沢市M邸」の見どころを紹介します。

建て主は、初めに大手ハウスメーカーへ行きましたが、室内に本物の木を使う希望は叶いませんでした。次に木の家をつくる工務店で計画を進めましたが、納得できないことがあって計画がストップしました。そんな時、知人の紹介で当社の存在を知り、コンセプトハウスにご来場くださったのが昨年の10月です。
その日はたまたま、他のお客様を自邸に案内する日だったので、急きょM様にも一緒に来ていただきました。建てようとしている家と私の家では規模も形も違いますが、少々変わった建物ですし、妻が質疑応答をしたりして、好印象を持ってもらったのではないかと思います(笑)

建て主の希望は平屋で、これまで他社で進めてきたプランも見せてもらいました。オーソドックスな細長い長方形の建物で、プランも特別に悪い訳ではありませんでしたが、敷地に立ってみると、その長方形がしっくり来ない感じがありました。
その理由は幾つかあって、方位が斜めに振れていて建物の正面が南西を向く点、敷地が五角形のため、西隣りの家の窓が視界に入り、こちらを見られているように感じる点、北側隣地に建つ3軒の家が境界に迫って建っていて、非常に圧迫感のある点が挙げられます。
そこで平面を「くの字」に折った建物を提案。初めは建て主も驚かれたと思いますが、私の説明を聞いて納得してくださったようで、細部を変更した第2案が現在のプランです。

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長方形の平面ではリビング、ダイニング、和室が横並びになってしまい、人の距離を遠く感じてしまうところですが、斜めに折れる空間の広がりと一体感には絶妙なものがあります。また、杉のタイコ梁が3本架かるリビング空間は、平屋ならではの勾配天井で、大きな開放感が感じられます。
裸足での生活、床に座る生活を好まれる奥様の希望で、リビングには縁なしの目積畳を埋め込んでいます。隣には小上がりの和室があって、ちょっと変わった「続き間」になりました。

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ダイニングテーブルは、樟(くす)の1枚板を使った逸品。当社の家具屋さん(無垢の会)が脚を造って丁寧に仕上げた、この世に一つしかないテーブルで、この空間にもよく合っています。一方、ステンレスの対面フラット型キッチンはモダンな装いですが、これまた開放性の高いこの家に合っています。

家の外に目を向ければ、「くの字」にすることで敷地に余白が生まれ、北側にも木を植えて庭を作る予定です。北側にある和室と主寝室からは、敷地内の庭に加えて隣家の広い庭も借景することができます。

外構工事中なので、外観はまだお見せできませんが、当社では珍しい濃色の外壁と「寄棟屋根」になっています。寄棟は、小屋組みを室内に現わすことや、エアサイクル工法には不向きなため、普段はあまり採用しませんが、プロポーションの美しい平屋との相性は良く、軒が水平に回る姿には風格が感じられます。
130坪もある恵まれた敷地、その敷地に馴染ませた「くの字」の平屋は、一見の価値があるお住まいです。

岸 未希亜

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