GW期間中に見学会を開催する「横浜市旭区Ｓ邸」の見どころを紹介します。
敷地は、1軒の家があった宅地を2分割しているため、南北に細長い形状です。南側は2階建ての家が目の前にあり、東側は同条件で販売されたもう1つの宅地。西側は平屋の家なので、現在は日当たりや風通しの面で好条件ですが、将来はどうなるか分かりません。
さらに、北側接道で道路側2/5は道路と同じ高さ、敷地南側3/5は道路面より1ｍ高くなっているため、建物を北側に寄せるのが難しく、日照・採光に関しては相当に不利な敷地でした。
こうした場合、まずは採光に有利な2階リビングにすることを考えますが、建て主の希望が1階リビングだったので、1階に太陽の光を入れるための少し変わった提案をしました。
建築したのは右側の黒い家です。横浜市の厳しい北側斜線（一種高度斜線）をかわすため、北東側の屋根を下げ、南西側の桁を高くした招き屋根にしました。屋根の頂部には南北に長いロフトを設け、予備の収納や室内干しスペースとして活用します。そして下屋（玄関）だけ色を少し濃くしてアクセントにしました。
北側に突き出した下屋の西側は少しだけ広いポーチになっていて、その軒下に玄関ドアを設けました。床は大谷石です。隣の家と比べれば一目瞭然ですが、道路面に玄関ドアがあると家の中が見えてしまいますし、出入りする姿を見られているようで落ち着かない感じがしますね。現地に行くとそれを実感できます。
南側に大きな吹抜があれば明るくなりますが、面積的にその余裕はありません。そこで1階リビングの日照・採光と通風確保のため、2階南西角に1帖（階段を含めれば実質3帖）の小さな吹抜を設けました。
西隣の庭に生える樹木の葉が青々としているのは、新緑の季節ならではの眺めです。
吹抜の下にある階段は、小上がりの畳座を2段目にして、踊り場から折り返す形で上がります。
そして階段下には足を下ろせるスタディコーナーがあり、畳座の下は引き出し式の収納になっています。また、階段の踊り場から出られるデッキがあり、地面よりちょっと高い物干場として活用します。
他にも、3帖あるご主人の仕事部屋、2階に上げた浴室・脱衣室、人工大理石カウンターの造作洗面台、室内物干場としても使う細く長いロフトなど、小さいながらも見どころの多い住宅です。
岸 未希亜
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