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2022.02.26 / よもやま話

北京オリンピック名場面

北京オリンピックが閉幕して数日経ちました。オリンピック期間中にタイムリーにブログを書きたかったのですが、日常業務に追われてそれは叶わず、遅ればせながら北京オリンピックを振り返ります。
皆様それぞれに思い入れのある競技、シーンがあったと思いますが、私が選ぶ私的ベスト3です。

第3位は、スキージャンプの小林陵侑選手です。今シーズはW杯7勝を上げる好調で、そのうちジャンプ週間(年末年始にまたがってドイツ・オーストリアの4会場で争う伝統のジャンプ大会)で3勝を上げ、自身2度目となる総合優勝も達成。北京五輪では金メダルの最有力候補と見られ、私も期待していました。

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Sports Graphic Number1046号より

先ずは2月6日に行われた個人ノーマルヒル。ジャンプには不利と言われる追い風が吹き、海外の有力選手が軒並み100mに届かないジャンプで低迷した1本目。7ヶ所の計測器が全て追い風を記録する中、小林は美しい飛形で104.5mを飛びトップに立ちました。これは本当に凄かったです。
より強い追い風に見舞われた2本目でも、最終ジャンパーのプレッシャーに負けることなく、金メダルを確保する大ジャンプを披露。中継をLIVEで見ていたので、テレビの前で思わず力が入りました(笑)

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朝日新聞2月7日 朝刊より

2月12日に行われた個人ラージヒルでも、1回目のジャンプでヒルサイズを超える142mの大ジャンプでトップに立ちました。個人2冠をかけて迎えた2回目のジャンプは138m。1回目で2位だったノルウェーのリンビクが、直前に140mの大ジャンプを見せて首位を譲らず、小林は僅差の銀メダルでした。これも中継をLIVEで見ていたので、グリーンラインに届かなった瞬間は「あーっ」と嘆息が・・・

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朝日新聞2月13日 朝刊より

皆さんご承知の通り、小林選手が所属する土屋ホームの監督は、現役選手でもある葛西紀明さんです。21歳で迎えた1994年リレハンメル五輪のジャンプ団体で金メダルを取り損ね、1998年長野五輪では団体メンバーから漏れ、41歳で迎えた2014年ソチ五輪の個人ラージヒルで銀メダルを獲得したレジェンドです。その葛西さんが愛弟子の活躍に涙を流したシーンも忘れられません。

第2位は、スキーノルデイック複合の渡部暁斗選手です。渡部選手は2002年ソルトレイクシティ五輪から5大会連続出場を果たす鉄人で、2014年ソチ五輪の個人ノーマルヒル、2018年平昌五輪の個人ノーマルヒルで2大会連続の銀メダルを獲得しています。

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Sports Graphic Number1046号より

「金メダルを取る」と公言していたものの、今シーズンのW杯の成績は振るわず、一度も表彰台に上がることなく迎えた北京五輪でした。2月9日に行われた個人ノーマルヒルでは7位に終わりましたが、2月15日に行われた個人ラージヒルでリベンジ。
前半のジャンプで5位につけ、後半のクロスカントリーは積極的に前に出てレースを引っ張ります。そして1位で最終局面を迎えましたが、猛然と追い上げてくるノルウェーの2選手にかわされて3位でゴール。2位とは0.3秒差、1位とは0.6秒差という紙一重の銅メダルでした。

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朝日新聞2月16日 朝刊より

2月17日に行われたノルディック複合団体。ここ最近はノルウェー、ドイツ、オーストリアの3強が盤石で、4番手の日本はその牙城を崩せない状況でした。しかし北京五輪では、エース渡部暁斗選手を第3走に起用して、最後まで3強に食らいついてメダル争いを展開。アンカーの山本涼太選手がオーストリアを振り切って3位に滑り込んだ瞬間、これもLIVEで見ていたので、「行けーっ」と叫んでいました(笑)
この種目は、1992年アルベールビル五輪、1994年リレハンメル五輪で、荻原健司さんを擁して金メダルを獲得した日本のお家芸でしたが、ジャンプの比重を下げるルール改正後は苦戦を強いられており、ゴールシーンは感動的でした。

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朝日新聞2月18日 朝刊より

渡部暁斗選手が凄いのは、年間を通して争うW杯の舞台で2011-12シーズンから2020-21シーズンの10年間のうち、9度も総合成績トップ3に入っていることです。そして2017-18シーズンには、荻原健司さん以来日本人2人目のW杯総合優勝も果たしました。
ジャンプも含めたスキー競技は気象条件の運不運があり、五輪は国別の出場人数制限もあって強豪国の選手が全員参加できないため、「単発のオリンピックよりも年間を通して戦うW杯の総合優勝に価値がある」というのが事実なのですが、日本ではスキー競技への関心が低く、渡部選手の総合優勝も大きくは取り上げられませんでした。日本で注目されるのは「オリンピックでのメダル」というジレンマを抱えながら、長い間第一線で戦い続けたこと、そして3大会連続で五輪のメダルを獲得したことに、心から敬意を表します。

そして第1位は、何と言ってもスピードスケート女子の高木美帆選手です。5種目に出場して金メダル1個、銀メダル3個の成績は圧巻でした。
高木選手は2010年バンクーバー五輪に、日本スピードスケート史上最年少の15歳(中学3年生)で初出場。1000mでは最下位に終わり、団体パシュートでは補欠でレースに出場しなかったため、銀メダルは受け取れずという結果でした。4年後のソチ五輪は成績が低迷して出場を逃しますが、2018年平昌五輪では1000mで銅メダル、1500mで銀メダル、団体パシュートで金メダルと3色のメダルをコンプリートしました。

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Sports Graphic Number1046号より

最初の種目3000mは6位でしたが、続く2月7日の1500mは世界記録保持者として迎える得意種目。本人も周囲も金メダルの期待が高かったのですが、オランダのブストに敗れて2大会連続の銀メダル。悔しそうなインタビューが印象に残りました。ヨハン・デビッドコーチの不在(コロナ感染)も影響したようです。
団体パシュートの1回戦を挟んで迎えた2月13日の500m。あまり出場しない種目で世界ランキングが低いため、高木選手は序盤に登場しました。そこで37秒12という好記録をマークして後続選手にプレッシャーをかけます。誰も記録を超えられず、「金メダルいけるか」という気持ちで見ていましたが、アメリカのエリン・ジャクソンに100分の8秒上回られて銀メダル。しかしこの日の高木選手は、ガッツポーズで喜びを爆発させていました。

女子団体パシュートで順調に決勝まで駒を進めた日本の相手は、今シーズン圧倒的な成績を収めているカナダ。2月15日の決勝は前大会王者と現王者の対決になりました。

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朝日新聞2月16日 朝刊より

序盤は日本がリードする展開も、後半はカナダがじりじり差を詰めてきて接戦の様相。目が離せないラスト1周の最終コーナーで、3走の高木那菜選手がまさかの転倒! 仕事の休憩時間にLIVEで見ていましたが、「オーマイガッ」て感じでした(笑)
転倒が無ければ僅差の勝負だっただけに、インタビューでも表彰式でも涙、涙の銀メダルでしたね。

そして2月17日、高木美帆選手にとって5種目7レース目となる女子1000m。この時は上棟式と片付けが終って帰る時間と重なったため、出発を後らせて車内でしばしスケート観戦です(笑)

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朝日新聞2月18日 朝刊より

高木選手は疲労が蓄積した満身創痍の状態だったそうですが、五輪記録となる1分13秒19でゴールを滑りぬけ、渾身のガッツポーズ。最終レースで米国のブリタニー・ボウのタイムが3位となり、高木選手の金メダルが決まった瞬間は、「良かったねぇ」と親戚の叔父さんみたいな気持ちになりました。
それというのも高木選手は北海道の幕別町出身。幕別町は帯広市の東隣にあって、十勝地方の同じ仲間です。帯広南商業高校に通っていたこともあって、妻から見たら同郷の姪みたいな親近感があるので、連れ合いの私も勝手に叔父さん気分になった訳です(笑)

スノーボード男子ハーフパイプで念願の金メダルを獲得した平野歩夢選手、カーリング女子で銀メダルという快挙を成し遂げたロコソラーレなど、他にも話したいことはありますが、長くなったのでこの辺で終わりにします・・・

岸 未希亜

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