今週末、3月11日に完成見学会を行う「葉山の家」について解説します。
この住宅は、昨夏に当社が発表した「小さくて豊かな家」シリーズの第一号です。
「小さくて豊かな家」とは、限られた予算を家の大きさにではなく中味に懸けようという提案で、
「大きさよりも遊び心」をテーマにしています。
家の大きさをコンパクトにするため、建物は総2階24坪(各階12坪)の大きさに凝縮しましたが、
全く無駄のない、それでいて余裕も感じられる絶妙なプランが作られました。
このプランが優れている点の一つは、
東西南北のどちらに道路があっても対応できるよう、玄関の位置を選べることです。
玄関の位置によってリビングとダイニングは入れ替わりますが、他は大きく変わりません。
もう一つ、個室のつくり方は家族構成によって5~6のパターンを用意しており、
1人暮らしから4人家族にまで対応が可能です。
以上の組合せによって、実に30通りのバリエーションが存在します。
また24坪の家がちょうど収まるような狭小地の場合、
1階の日当りが期待できないことも考えられるため、
2階LDKの逆転プランタイプも用意しています。
こちらは24通りのバリエーションがあり、自分たちにあった間取りを選ぶことができます。
またパンフレットにあるように、「小さくて豊かな家」は3種類のテイストを用意しています。
「ナチュラル」は、柱を自然に見せた木と漆喰の優しい家。
「ホワイト」は柱を隠した白い空間でインテリアを楽しめる家。
「マニッシュ」は白い壁や板張りを強調したモダンな大人の家。
内外観とも個性の違う3タイプから、自分に合ったスタイルを選ぶことができます。
この仕組みはファッションの世界でいう「プレタポルテ」と同じ考えです。
注文に応じて一つ一つ製作するオートクチュール(高級オーダーメイド服)と違い、
プレタポルテは既成服には違いありませんが、大量に安くつくられる商品とは区別されています。
当社の「小さくて豊かな家」も、オーダーメイドの注文住宅とは違いますが、
どこにでもある安物とは違います。
きちんと練り上げられたプランがあり、そのバリエーションが用意され、
好みに合わせて仕上げや設備機器を選ぶこともできます。
住宅は、洋服のように既製品を買うという訳にはいきませんよね。
そして予め用意された図面で工事を進めることができるので、
工事費を抑えることにも繋がり、お求めやすい価格設定を実現しています。
「葉山の家」の場合、南側の眺望がよいこともあって2階LDKプランを採用しました。
階段を昇って2階に足を踏み入れると、納戸を除いて約20畳の空間が広がります。
24坪総2階建ての外観を見て、
内部にこれだけ豊かな空間が広がっているとは、恐らく想像できないでしょう。
またプレタポルテの利点として、間取りと構造が無理なく整合しているため、
「ナチュラル」は柱と梁が整然と並ぶすっきりとした真壁の空間になっています。
1階は寝室と和室を続き間にしているため、
季節や気分に合わせて畳に布団を敷いて寝ることも可能です。
勿論、泊まり客があれば客間として使うこともできます。
洗面台は奥様の好みを取り入れ、モザイクタイル貼りのカウンターに白い洗面器を置き、
照明計画にはご主人のこだわりを反映しました。
特に、ダイニングに吊るされたルイスポールセン「PH50」は、
北欧を代表する照明器具ですが、ナチュラルな空間にもよく合っています。
「小さな家」を否定的に捉えてしまうのはよくありません。
家が小さいと確実に家族の距離が近づきますし、掃除も絶対に楽なのですから(笑)
限られた予算だからこそ、
「家の大きさより中味にお金をかけること」の重要性を、ぜひご体験ください。
岸 未希亜