事例紹介

YKF邸

 古くは平安時代に街道が開かれ、江戸時代に五街道が整備されてから幕府防衛の関所として重要な役目を果たしてきた箱根ですが、明治以降は観光地として開発が進み、現在では神奈川県随一の温泉地であり保養地として、旅館、ホテル、企業の保養所、別荘などが建ち並びます。
 お施主様はこの地に、趣味を楽しんだり、お友達を招く場として終の棲家を計画されました。敷地は別荘地の奥まった場所にあり、樹齢60年程の桧が林立する手つかずの状態でしたので、先ずは桧を伐採するところから始まりました。この桧を使って家を建てる、というのも今計画の醍醐味の一つです。また敷地は東下がりの傾斜地で、遠くに相模湾を望むことができる場所なので、この絶景をいかにプランに反映するかというのが大きなテーマになりました。そこで道路レベルである2階にリビング・ダイニング、寝室、水廻りを配し、1階にアトリエ、客間などを設け、リビングと浴室からの眺望を重視したプランにまとめました。眺望と日当りという2つの要素を叶えるため、建物は真ん中で斜めに折れたような格好になっており、訪れた人の目を楽しませる住宅になるものと思います。

竣工

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趣味を思い切り楽しめる家。友人たちをもてなす家。ゆったりとくつろげる家。
この絶景と共に、お施主様のこれからの暮らしが始まります。

古建具

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仕上げ工事

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工事も終盤です。
室内には石膏ボードや天井板が張られています。

この家の中心である2階のLDは桧の羽目板張りの勾配天井です。
登り梁の間にはめ込んでいきます。壮観です。

エアサイクル検査

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エアサイクル検査を行いました。

内部からもチェック。断熱材の取り合いや部材の境目の気密・防水のチェックをします。
黄色いテープが気密防水テープ、白い盛り上がり部分は発泡断熱材です。
これらで境目や隙間を埋め、断熱と防水を仕上げます。
数ミリの隙間でも大きな影響があるので、念入りに検査します。

欄間

YKF035.jpg古建具屋でお施主様自らみつくろった欄間です。こちらはロフトの手すりに。

こちらは古色塗装して小上がりの和室に。
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金物検査

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金物検査を行いました。接合金物の種類や取りつけ状況などを確認します。

柱の真ん中に入った切れ込みは「背割れ」といって、木が乾燥して収縮した時に亀裂ができるのを防ぐためにあらかじめ入れておくものです。

上棟

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青空の下、いよいよ上棟です。
柱と土台は、この場所で育った桧。「近くで育った木を使うと家が長持ちする」とよく言われますが、これ以上の近さはありません。傾斜地での作業もチームワークで乗り切ります。

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無事に屋根まで完成しました。

土台敷き

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土台を敷きました。長方形ではないのに、ピッタリ収める手腕はさすが。

基礎打設

基礎のコンクリートを打設します。

最近のコンクリートは工場であらかじめ練られたものをミキサー車で運んできます。
現地に到着したらポンプ車でコンクリートを圧送するわけですが、今回のように道路から距離も高さもある場合はどうなるのでしょう。

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正解は、手を伸ばす。
ポンプ車の腕はここまで伸びるんですね。壮観です。

配筋検査

配筋検査を行いました。

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基礎のコンクリートを打つ前に、鉄筋の配筋状況を検査していきます。
鉄筋の径、間隔、継手長さ、定着長さなどが正しいか、ベテラン監査社員と担当現場管理社員が厳しくチェック。

遣り方

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整地も完了し、本体工事に入ります。
まず始めに、建物の位置や高さの基準線を割り出し、目印の杭と横木を設置します。これを「遣り方(やりかた)」といいます。今回は道路と敷地に3m以上の高低差があり、駐車場からアプローチブリッジで2階につながるプラン。正確な位置出しが要です。

伐根・整地

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地鎮祭も済み、いよいよ着工です。しかしまず、敷地内に残っている伐採した桧の根を抜かなければいけません。
樹齢60年の桧の根となると、簡単には抜けません。重機の力を借りて掘り返します。

地鎮祭

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生憎の雨のなか、地鎮祭が行われました。
神奈川県内は午後から雨の予報ということでしたが、箱根の麓まで来ると雨がポツリポツリ。箱根の坂を登っていくと本格的な雨に変わりました。標高800mの敷地は雨や雪の多い「山の天気」であることを痛感しました。

地鎮祭は神官のお祓いに始まり、幾つかの儀式を行います。
建築主の出番は一般的に2回あります。

YKFjichiGattai.jpg(写真左)穿初之儀(うがちぞめのぎ)建築主は「鍬入れ」を行います。
(写真右)玉串奉奠(たまぐしほうてん)玉串を祭壇に供え、2礼2拍手1礼の作法で拝礼します。

晴れていれば相模湾を眼下に収め、遠くに江ノ島を見ることもできただけに残念です。
しかし「雨降って地固まる」ということで、返ってよかったのかもしれませんね。

建物配置の確認

伐採が終わってから本格的な設計打合せを重ね、「傾斜地の景勝地」という特殊性を織り込んだ住宅の計画がまとまりました。傾斜地であると同時に、敷地の形状も矩形ではなく変形のため、建物を配置するにも捉えどころがなく、非常に難しくなっています。

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そのような状況を踏まえ、眺めの良さと家相のバランスを見ながら建物の角度を決めたり、設計GLと呼ばれる地盤面設定をどこにするかを考えながら、現地に縄張りを行いました。

伐採完了

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伐採が終わりました。
桧の樹齢はおよそ60年です。敷地に自生していた桧を使っての家づくりが始まります。

敷地を覆い隠していた桧がなくなり、視界が開けました。
東に向かって下がっていく斜面の先には、遠く相模湾を望むことができます。

桧の伐採

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今年は例年より寒い日が多く、箱根は雪の降る日が多くなっています。
まだ雪が残り足元もよくない状態ですが、予定通り伐採が行われました。
伐採する桧はおよそ200本ありますが、製材して建物の構造に使えるのは何本ぐらいでしょう?
伐採後に敷地がどのような姿を見せるのか、楽しみです。

手つかずの敷地

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箱根の別荘地の奥深い所にあるこの敷地は、まだ手が入っていない状態で桧が密生しています。東の方向の眺望がよいということなのですが、ご覧のように木が茂りすぎて全く視界が利きません。
ここに家が建つことを想像するのも難しいような状態ですが、この木を伐採することを想定して計画を始めていきます。