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2017.10.03 / 建築と住まいの話

茅ヶ崎M邸 完成見学会の見どころ

今週末に見学会を開催する「茅ヶ崎市M邸」の見どころを紹介します。この家のタイトルは「二世帯のセミコートハウス」です。タイトルの通りに、二世帯住宅であること、中庭を囲んだ「コの字」型の住宅であることが特徴です。

敷地は8区画に分けられた開発分譲地のうちの2区画です。当然ながら元の敷地は非常に広く、そこに親世帯が暮らす母屋と貸家の2棟が建っていました。道路との接道長さは10mで、敷地の奥が広くなっている変形敷地ですが、道路との間には1棟の家と駐車場があるだけなので、道路からも敷地がよく見え、敷地からも道路がよく見える状況でした。

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当社は、両親との3世代同居型住宅も含めて、毎年のように二世帯住宅を施工してきました。「住まいの教室」が行われる前は、二世帯住宅セミナーを何度か開催したこともあります。そんな訳で、今回の見学会を前に、二世帯住宅について予習をしてみましょう。

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1.両世帯の関わり方の違いによる分類は以下の3つに分けられます。
①同居型(3世代同居)②半同居型 ③独立型

同居型は文字通り「同居」のため、基本的に寝室以外は共有になりますが、親世帯か子世帯のどちらかに、小さくてもプライベートリビングを用意してあげるのがポイントです。
半同居型は玄関だけ、水回りだけ、和室だけ、その複合等、両世帯で共有するスペースをつくることで建築費を抑え、かつ二世帯であることを積極的に楽しむスタイルです。
独立型は玄関やキッチンをはじめ、全てが2軒分あるので建築費は高くなりますが、生活リズムの違いを気にせずに暮らせるのがメリットです。そして将来は、空いた方の家を貸すことも可能です。

2.子世帯の属性による分類は、以下の2通りです。
①息子夫婦との二世帯 ②娘夫婦との二世帯

息子夫婦との二世帯は、すなわち嫁と姑(しゅうとめ)の関係です。2人いる「奥様」の独立度合いがポイントなので、「息子夫婦で同居型」となると、かなりハードルが高くなります。
娘夫婦との二世帯は、すなわち婿と舅(しゅうと)の関係です。2人の「主人」をいかに立てるかがポイントですが、同居型、半同居型、独立型の違いは、結局のところ母と娘の関係によって決まるでしょう(笑)

3.建物の構造による分類は以下の3つです。
①縦割り型 ②横割り型 ③分棟型

縦割り型は、2つの家を並べて建てて横でつなぐ形です。一面の壁が隣家に接した界壁になるため窓が取れず、方位によっては上手くいきません。両世帯とも庭が作れて外に出られるのがメリットです。
横割り型は2つの家を上下に重ねた形です。四方に窓が取れるので、採光・通風の問題はありませんが、2階には庭が取れず、1階は上階の物音が気になります。建築面積が小さくなるので、敷地が大きくない場合は必然的に横割り型です。
分棟型は2つに分けられる広い敷地が条件で、親世帯の家を残して子世帯が新築する等、現実にあり得る形です。建物は別でも、庭や外構を一体に計画することで、魅力ある二世帯住宅になる可能性があります。

今回の住宅は、1階が親世帯で2階が子世帯という「独立型二世帯・横割り型」です。1階に玄関が2つあり、その玄関どうしで行き来ができるため、半同居型の要素も取り入れています。
セミコートハウスにしたのは、周囲からの視線をまともに受けないためです。南側は3軒の家が並んでいて、そのうちの1軒は広いルーフテラスがあり、東西両面(西側は道路)からの視線も気になります。

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1階は中央が暗くなってしまうので、西側のウイングにLDKを配して東向きにしました。以前の家にあった大黒柱と雪見障子を再利用した一方で、輸入家具やモリスのカーテンを採用する等、大人の雰囲気を醸し出す空間になります。カーテン類は見学会には間に合います。

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2階は中央部分にLDKを配し、左右のウイングに寝室と子供室を分けました。2階の構造特性を生かした開放感のある2階リビング、回れる動線とL型キッチン、桧板張りの浴室は注目です。また、キッチンの壁タイル、モリスの壁紙、ブラインド・スクリーンの美しさも見どころです。

二世帯住宅を検討している方はもちろん、コートハウスやインテリアに興味のある方も、ぜひご覧ください。

岸 未希亜

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