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2017.08.07 / 建築と住まいの話

雑誌掲載のお知らせ

今年も「和風住宅」に、当社で建築した住宅が掲載されました。

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掲載されたのは、今年の1月に完成見学会を行った小田原の住宅です。建物の引き渡しは2017年2月でしたが、建て主との出会いは2013年10月にまで遡ります。それ以前から家づくりをスタートさせていた建て主は、住宅会社、工務店、設計事務所など、合わせて10社程度の会社を訪ね、見学会やセミナーにも数多く参加されたとのこと。当社も10社の中の一つだった訳ですが、県産材の伐採ツアーを皮切りに、約1年間にセミナーや見学会に16回も参加していただき、確実に建て主との距離が縮まっていきました。
そうして約1年後に当社が選ばれたのですが、建て主の言葉を借りれば、「他の工務店では設計力に不安を感じ、設計事務所では施工会社や工事のレベルが不確定。貴社に頼めば設計・施工の両方に満足できると思った」そうです。

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建て主の要望として最初に挙がったのが、「いつまでも輝き続ける家」という表現でした。50年前のデザインが今でも引き継がれ、その美しいデザインが色あせないドイツの自動車メーカー「ポルシェ」を例に挙げていたのが印象的です。また『和風住宅』の記者に話された内容が、次のような記事になっています。

その過程(多くの住宅を見て回る過程※筆者注)で「流行を追ったものはいずれ時代遅れになるけれど、和風住宅はいくら時間を経ても変わらない美しさがある」と気付いたのだそう。

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和風住宅に限りませんが、特に和風住宅では庭・外構の役割も大きいものがあります。敷地が広いので、まだ全ての庭は完成していないのですが、玄関アプローチの変化に富んだ構成は見事です。私の方でも道路から玄関への動線や、大まかな植栽イメージをもって住宅の設計をしていますが、自然石の使い方や植栽の配置、樹種の選定、鎖樋を使った雨水受けなど、庭師の藤木さんの仕事によって和風住宅の趣きが増し、家が何倍も良く見えます。

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もう一つの大きな要望は、「部屋の利用目的を固定化せず、家族の成長や時の移ろいによってフレキシブルに利用できるようにしたい」というものでした。そのため、子供室、寝室、ダイニングというように用途を表した室名は使わず、板の間、畳の間、奥の間といった室名にしたいという要望まで。
昔ながらの日本の家は、部屋を使い回すことで、大きくない家を広く便利に使っていました。そうした長所は、普段の設計でも意識しているのですが、建て主からここまで明確に言われたことはないので、とても愉快だったのを思い出します。

余談ですが、この本の「職人の手仕事」というコーナーに、組子細工で知られる建具職人の横田栄一さんが紹介されています。

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横田さんのことは、1年前のブログで紹介しましたが、覚えているでしょうか?長野で建築中の庫裡の建具は、この横田さんに製作してもらうのですが、改めて恐れ多いと思いました(笑)

話を戻します。
建て主はお引き渡しの時に、「設計が完了した段階でも完成度の高い家だと思っていましたが、図面にない部分でも、より高みを目指した棟梁と現場監督の判断によって、さらに磨きのかかった仕上がりになったと思います。伊藤さん(監督)の妥協のない仕事ぶりが嬉しかったです」と言ってくださいました。当社が高く評価されているポイントの一つが「現場力」であることを再確認したお言葉です。
この住宅は「用途を限定しない「間」の家」として、ホームページの「事例紹介」に加えました。ぜひ、ご覧ください。
また、今回の建て主も毎回参加されて、「家づくりの詳細を知ることができた」という「住まいの教室」が今週末に開催されます。お盆休みの貴重な一日ですが、ぜひ家づくりの授業にご参加ください。

岸 未希亜

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