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2017.04.20 / よもやま話

春休み2017 後篇

3日目の午前、家族が友人宅で寛いでいる間に、一人で近くにある建築物を見に行きました。一つは「常滑陶芸研究所」です。この建物は、伊奈製陶株式会社(後のINAX、現LIXIL)の創業者、故伊奈長三郎が資金を出して建設したもので、設計は建築家の堀口捨巳(ほりぐちすてみ)です。

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堀口捨巳はモダニズムの建築家であり、日本建築や茶室の研究者としても知られています。堂々とした外観は、コンクリート打ち放しのモダニズム建築そのもの、と思いきや、近付いてよく見ると淡い紫色のモザイクタイルが貼られ、下の方は濃い紫色にグラデーションしていました。エントランスにも紫色のガラスブロックが使われていたりして、自分が抱いていた堀口捨巳のイメージと違って驚きました。建築家や建築を学ぶ学生らが度々見学に来るそうですが、一般の方が足を運ぶことは少ないでしょう。

もう一つはINAXライブミュージアムです。こちらの方が一般には知られた施設で、駐車場には車がいっぱい停まっていました。

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広い敷地に、世界のタイル博物館、窯のある広場・資料館、建築陶器のはじまり館、土・どろんこ館、陶楽工房などの建物があって、施設を見学したり、陶芸やタイルに親しむことができます。以前にも一度来たことがあるのですが、その時は無かった「建築陶器のはじまり館」と「テラコッタパーク」が面白かったです。

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近代建築の装飾に使われた実際のテラコッタが展示してあるのですが、横浜松坂屋本館(1934年)のテラコッタは、鉄筋コンクリートの梁ごと切断してあって迫力満点でした。

それでは、途中で立ち寄った「渋い観光地」を紹介します。往復に利用する高速道路(東名または新東名)から行きやすい名所を探し、初日に訪れたのが、愛知県東端部の新城ICから近いこの場所です。小学校の歴史で誰もが習う有名な所ですが、この写真でどこか分かりますか?

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馬の侵入を防ぐ馬防柵(ばぼうさく)が再現されているので、ピンと来た方もいると思いますが、正解は「長篠の戦い」古戦場跡です。ちなみに現地の資料には「設楽原(したらがはら)決戦場」「長篠設楽原の戦い」と表記されていますし、新東名高速道路のパーキングエリアも長篠設楽原PAです。設楽原は小川に沿った谷間の丘陵地で、私が想像していたような広い草原ではありませんでした。

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「長篠の戦い」と言えば、3000丁の鉄砲を用意した織田・徳川連合軍が、鉄砲隊を1000人ずつ3隊に分けて三段撃ちを試み、武田勝頼率いる騎馬隊を撃破したというのが通説です。しかし、史実や歴史家の考察はこの通説を「疑わしいもの」としているようで、正に「諸説あり」のようです。

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それでも約440年前に、織田信長、徳川家康、武田勝頼らがこの地で戦い、真田昌幸の兄2人(信綱・昌輝)がここで命を落としたことは間違いなく、歴史の重要な場所に立っていることは不思議な感覚でした。娘たちにも、歴史が少しは身近に感じられたと思います。

次に訪れたのは、近くにある「阿寺の七滝(あてらのななたき)」です。国の名勝、天然記念物に指定されているほか、「日本の滝百選」にも選ばれています。

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素朴な駐車場に車を停めて15分ぐらい歩くのですが、観光地らしい整備された歩道ではなく、自然な山道を歩く感じで良い雰囲気でした。本当に滝があるのか不安になる感じもありましたが、やがて道の突き当たりに滝が現われます。大きな滝ではないのですが、崖に沿って七段の滝になって流れ落ちているため、糸を引いたような美しさがありました。

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日本の滝百選は、日本全国から応募があった527滝を厳選して、1990年に選定されたものだそうです。リストを見ると名前を知っている滝は幾つかあるものの、滝にはあまり縁の無い私ですので、実際に見たことがあるのは日光の「華厳の滝」だけでした。ちなみに神奈川県では早戸大滝(相模原市)、洒水の滝(山北町)の2滝が選ばれていますので、新緑の季節に行ってみてはいかがでしょうか。

他に、往路では新城市大野(旧鳳来町)の町並み、復路では豊田市足助(旧足助町)の町並みを歩きましたが、長くなってしまうので、また別の機会にします。

岸 未希亜

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