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2016.09.21 / 建築と住まいの話

小田原S邸 完成見学会の見どころ

今週末に見学会を開催する「小田原市S邸」の見どころを紹介します。今回は、建て主の紹介だけでも伝えたいことが盛りだくさんのため、いつものような詳しい解説は省略して、建物は断片のみお見せします(笑)

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「板の間」は障子越しの自然光に照らされ、天井も桧板張りで温かみのある空間。大工の技が発揮されたストリップ階段がアクセントになっています。窓上の間接照明、PH5(照明)の美しい灯りは隠し味です。

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大工造りに家具造りを組み合わせたキッチンは、自然素材の室内に違和感なく溶け込んでいます。2階は、化粧野地板を天井にした非常に開放的な空間で、窓から見える山並みも綺麗です。

建て主のSさんが最初に資料請求をしてくださったのは、ちょうど3年前の2013年9月でした。直後にあった県産材を巡るバスツアーに参加されたのを皮切りに、当社主催の家づくりセミナー(「住まいの教室」が始まる前)や、主に県央・県西地域の構造・完成見学会に何度も参加していただきました。入居希望時期が2年以上先ということで、時間的な余裕があってのことですが、何度も顔を合せるうちに当然ながら距離も縮まり、「営業する側とお客様」という構図ではなく、気軽に相談できる間柄になれたように思います。
当社を知る前からハウスメーカー、工務店、設計事務所などを幾つも見て回っていたSさんですが、1年間に及ぶセミナーや見学会の参加(延べ16回)で当社の家づくりを詳しく知り、心が決まったようです。Sさんの言葉を借りれば、「他の工務店では設計力に不安を感じ、設計事務所では施工会社や工事のレベルが不確定。貴社に頼めば設計・施工の両方に満足できると思った」とのこと。これだけじっくり観察されても耐えられたことは、大きな自信になります(笑)

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敷地は市街化調整区域との境にあたり、道を挟んだ北側は家が少なく、遠くに山並みを望むことができます。駐車場にしていた実家の土地を切り取って敷地にするため、計画の自由度は極めて高く、かえって難しい条件とも言えました。
前述のエピソードからも分かるように、Sさんは「設計」に対する期待が非常に高く、要望書への記述は非常に丁寧で、かつ面白い表現も幾つかありました。例えば「いつまでも輝き続ける家」という表現。50年前のデザインが今でも引き継がれ、その美しいデザインが色あせないポルシェを例に挙げていました。「子供部屋、主寝室といった呼び名ではなく、奥の部屋、六畳の部屋といった呼び名にしたい」も真っ先に書かれていた要望です。また、具体的で細かな要望がある反面、「~があるといい」「~するのも一案」といった表現で、設計者に判断を委ねる書き方も上手でした。

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そんなSさんに乗せられた私は、第一案としてスキップフロア案を作成。ほとんど平屋の建物の一部がスキップフロアになっていて、下が車庫になっている案です。中2階部分のスタディコーナーと1階のリビングの一体感が魅力的なプランでしたが、予算をオーバーしてしまい、断念しました。
これに続く第二案は、平屋の一部に小さな2階を造り、屋根付きの車庫と一体にした案です。平屋らしいどっしりとした安定感を持ちながら、2階部分がアクセントになった佇まいが好ましい建物でしたが、残念ながらこれも実現しませんでした。
第三案は現実路線に舵を切り、下屋のある2階建て案にしました。平屋と比べると、2階建ての方が風通しが良くなったり、動線が短くなったりして良いことも多いので、結果的には非常にバランスの良いプランができたと思います。当初からの要望もほとんど叶えられているので、Sさんも納得でした。

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現在は外構工事の追い込み中です。目隠し格子に囲われた物干しデッキ、玄関までのアプローチなど、外回りの見どころも多いので、お楽しみに。

岸 未希亜

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