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2016.09.07 / 建築と住まいの話

お住まい拝見

今週末に開催される「住まいの教室」は、実際に住んでいる住宅にお邪魔する「お住まい拝見」です。通常の完成見学会は、まだ家具が揃っていなかったり、生活感のないがらんとした空間のため、実際の暮らしをイメージできない方もいると思いますが、「お住まい拝見」は実際の暮らしが見られます。

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それに加えて、今回訪れる家は2軒とも、「敷地から発想した住宅」という点も見どころです。
敷地が広かったり、四角くて建築しやすい敷地だったり、南側に道路があったりすれば、あまり深く考えずにオーソドックスな住宅を計画することができます。しかし今回の2棟は敷地条件に難があり、間取りや断面計画に工夫が必要でした。そのため、建物の形にも特徴があります。

1棟目は、間口が狭く東西に細長い敷地形状で、南側の隣地に家が建つと1階が日影になってしまう条件です。そこで、日照・採光を確保するために、中庭を囲むコの字型の平面形にしました。さらに、2階平面をL型にして東側の凸部を下屋にすることで、より多くの光や風を採り入れるようにしました。

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1階はリビング・ダイニングをL型に配し、茶道を嗜む奥様のために設けた茶室(和室)で、中庭のもう一辺を囲んでいます。どこからでも木々の緑を楽しむことができる中庭(坪庭)は、採光と通風にも優れていて、町家がもつ昔ながらの知恵です。この坪庭は、茶室の露地としての役割も果たしています。

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転勤の多い仕事に就かれていた建て主は、鎌倉の地に終の棲家を求め、当時お住まいだった石川県金沢市から足繁く鎌倉に通われました。その5年前、金沢転勤によって鎌倉居住が延期になってしまった訳ですが、不動産業者から紹介された中古物件が神奈川エコハウスの造った家で、当社に好印象を持っていたとの運命的なエピソードがありました。そのため「建築会社を決める際に第一候補として声を掛けた」そうです。
ご家族は、夫婦と子供2人の4人家族。社会人の子供たちとは分かれて暮らしていましたが、新しい家が完成すると鎌倉に集結し、賑やかな家庭が戻っています。

2棟目は、敷地面積が約38坪と小さく、北西側には3階建ての家が迫っています。南東側はこれから分譲されるため、計画時(引越し時)はまだ更地でしたが、将来どうなるかは未知数です。そこで、自分の敷地の南側にできるだけ庭(空間)を残すように、建物平面をL型にしました。さらに、2階の真ん中に4帖半の大きさの吹抜けを造り、万が一大きな建物が建っても、1階の日照・採光が得られるようにしました。

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保育園に通うお子様がいるご家族にとって、吹抜けは親子が自然にふれあう装置でもあります。コンセプトハウスの空間をたいへん気に入られた建て主のため、そのイメージを残しながら、吹抜けと子供部屋は当初ひとつの大空間にして、1階ともダイレクトに繋げました。またダイニングは、全開サッシを引き込むとデッキとも一体の空間になるので開放的です。そしてリビングの南に張り出した和室の建具を引き込めば、LDK+和室+デッキの気持ちよい大空間が広がります。

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奥様は「いい空間に身を委ねるのが好き」という稀に見る建築好きで、その想いが詰まった要望ファイルを見て、設計にも力が入りました。そんな建て主だったので、木製の玄関ドア、造作キッチン、吹抜の手摺、障子や襖のデザイン、照明器具など、細部の造り・デザインにもこだわり、雰囲気のある空間をつくることができました。また、ご夫婦が共働きのため、家事動線のこだわり、室内物干場も設計に反映しています。

敷地から発想した家の形。それぞれの希望が形になった住まい。そして神奈川エコハウスで家を建ててみての感想。それらをご自分の目と耳で確かめてみてください。きっと参考になるはずです。

岸 未希亜

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