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2016.03.10 / よもやま話

畠山記念館

昨日は春らしい陽気から一転、そぼ降る雨に肌寒さを感じる一日でしたが、久々に電車で都内へ行ってきました。目的地は港区白金台にある「畠山記念館」で、都営浅草線の高輪台駅から徒歩5分の場所です。

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畠山記念館は、荏原製作所の創立者である畠山一清が、自ら収集した古美術品を公開するために造った私立美術館です。敷地は、江戸時代には薩摩藩主島津家の別邸だった場所で、薩摩出身の寺島宗則(参議・外務卿)の所有を経て、昭和12年に畠山一清が買い取って現在に至ります。
苑内には、本館の他に5棟の茶室が点在し、茶会や花会などの貸席として利用されています。私自身、茶道経験はないのですが、建築的に「茶室」が好きで勉強しているので、別の機会に茶室も見てみたいと思いました。

美術館は鉄筋コンクリート造ですが、室内は日本建築風の造りになっています。

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展示室には付け柱や長押があり、窓には障子が入っていて、一部に畳敷きのスペースもあります。そこには床の間風のショーケースがあって、床の間に掛けられた掛け軸を、本来の目線で鑑賞できるようになっています。
この日は茶会も催されていたようで、平日にもかかわらず、美術館に多くの人が訪れているのは少々驚きました。

近代日本には、実業家として名を馳せるかたわら、数寄者(茶人)としても活躍した人が何人もいて、益田孝(益田鈍翁)や原富太郎(原三渓)のことは私も知っていましたが、畠山一清もその一人に数えられます。
畠山は「即翁」と号した茶人で、所蔵品は茶道具を中心に、陶磁器、漆器、日本画、水墨画、墨蹟(禅僧の筆跡)、能装束など多岐にわたり、国宝6点、重要文化財32点を含む1300点にも及びます。
一度に全てを展示できない代わりに、畠山記念館では季節ごとに年4回、テーマを決めて展示替えを行っています。苑内の木々や花も、四季によって違った景色をつくるので、年4回の季節展は、数寄者らしいアイデアだと思いました。

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1月16日から始まった冬期展は「春に想う 梅・椿・桜・桃」というタイトルで、春を象徴する花の意匠の美術工芸作品を選んで展示しています。今週日曜日(3月13日)まで開催されていますので、興味のある方は行ってみてください。

次の春季展は「光琳とその後継者たち」というタイトルで、尾形光琳没後300年を記念して、畠山記念館に所蔵している光琳作品を一挙公開するとともに、光琳の後継者たちの作品も展示するそうです。会期は4月2日から6月12日ですので、苑内の花見を兼ねて立ち寄るのも良さそうです。

岸 未希亜

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