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2016.01.19 / よもやま話

冬の西伊豆

年末、家族旅行で伊豆に行って来ました。
神奈川県民にとって「伊豆」は馴染み深い観光地だと思います。私も伊東、伊豆高原、修善寺など、伊豆半島には何度も遊びに行っていますが、まだ一度も足を運んでいないのが「西伊豆」です。これまで伊豆長岡や修善寺には行っても、西海岸まで足を延ばすことがありませんでした。そんな訳で、私にとって初めての「西伊豆」を紹介します。

初めに訪れたのは、今さらながらの「恋人岬」です(笑)。四十路になって家族で行く場所でもないのですが、若い頃から名前だけは知っていた有名な場所なので、立ち寄ってみました。

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想定外だったのは、県道沿いの駐車場から岬の展望台までの距離が長く、アップダウンも大きかったことです。小学校まで毎日30~40分も歩いている娘たちに比べ、親の方は膝が笑っていました。

展望台には入れ替わり立ち替わり、カップルがやって来ます(笑)

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3回鳴らすと恋愛が成就すると言われている「ラブコールベル(愛の鐘)」の下で、とあるカップルが何かを見ています。近付いてみると、小銭を使ったハートマークでした。

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いつからこの状態が保たれているのでしょうか。それを娘が壊そうとしたので慌てて止めました。縁起でもない、お前は一生親に面倒見てもらう気か・・・

西海岸を南下し、次に訪れたのは「松崎」です。
鉄道は、伊豆急行で熱海から東海岸に沿って下田まで行くか、伊豆箱根鉄道で三島から中央を南下して修善寺までしか行きません。その修善寺からバスに乗り換えて1時間半以上もかかる松崎は、陸の孤島とも言える不便な所ですが、かつては伊豆西海岸の中心として栄えた港町でした。

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町の一部には、江戸時代や明治初期に建てられた豪商の家が残っていますが、その特徴は「なまこ壁」です。「なまこ(海鼠)壁」とは、正方形の平たい瓦を壁に並べて貼り、その目地部分に漆喰をかまぼこ型に盛りつけて塗る工法を指します。防火の役割を果たすことから、倉敷をはじめ各地の町家や蔵で見られますが、「なまこ壁の町」と言えば、松崎が真っ先に挙げられるでしょう。

この松崎には「長八記念館」と「伊豆の長八美術館」があります。

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松崎出身の左官職人である入江長八は、20歳の時に江戸へ出て絵や彫刻を学び、それらを漆喰細工に応用(漆喰で模様を描く鏝絵(こてえ)に絵具で彩色)することによって、鏝絵を芸術品の域に高めた人物です。
誰でも知っている有名人ではありませんが、私が大学一年生の時、「伊豆の長八美術館」を設計した石山修武さん(当時は大学教授)が授業で熱く語っていたので、25年経った今日まで頭に残っていました。やっと呪縛から解放された気分です(笑)

また松崎は、映画やテレビの撮影地としても度々使われています。恐らく皆さんも見たであろうTBSドラマ『世界の中心で、愛を叫ぶ(2004年)』もここが舞台でした。

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主人公の松本朔太郎を山田孝之、ヒロイン廣瀬亜紀を綾瀬はるかが熱演した感動のドラマでしたね。私は何度も泣きました。

土肥(とい)に戻って宿にチェックインした時、ちょうど夕焼けが空を赤く染めていました。

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ただ、海に沈む夕日をイメージしていたので、手前の岬が邪魔をしているのはあまりにも残念でした。

翌日は東伊豆への移動でしたが、絶景を求めて西伊豆スカイラインを北上しました。すると途中に駐車場があり、左下のような標識がありました。

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「距離が短いなら妻も娘も嫌がらないだろう」と達磨山の方を目指しましたが、昇り坂の700mは決して短くはなく、さらに風が強くて空気も冷たいという悪条件に家族は渋面です。しかし山頂に到達すると、富士山はもちろん、沼津から清水にかけての海岸線や、伊豆半島の山並みを一望することができて最高の眺めでした。

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途中、戸田(へだ)の町を見下ろすことができます。小さな湾に向かう谷あいの集落が、非常に印象的でした。枯れ木と富士山の姿も、絵画のような構図です。

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最後は伊豆高原から。
標高580mの大室山は有名な観光地ですが、これまで自分は一度も登ったことがなく、娘2人と一緒にリフトに乗って、初めて登頂しました。大室山山頂には、直径300m、周囲1000m、深さ70mの噴火口跡があり、その噴火口の縁を周回する「お鉢めぐり」ができます。

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大島や初島、相模湾はもちろん、富士山も見渡せる360°の大パノラマは見事の一語に尽きるのですが、山の斜面が急過ぎて転がり落ちそうな感覚です。この日は風も強く、小学校1年生の娘が飛ばされないかと私が冷や冷やしている時、リフトに乗らなかった妻は、甘酒で身体を温めていました(笑)

岸 未希亜

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