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2015.05.08 / 建築と住まいの話

精巧な軸組模型

5月9日(明日)、横浜赤レンガ倉庫1号館を会場にして「かながわ家づくりフェア」が開催されます。2006年から参加している当社は、今年も出店しますので、お近くに遊びに来られる際はお立ち寄りください。

それに加えて今年は、一般財団法人 神奈川県建築安全協会からの依頼で、同法人による「かながわの家づくり・森林(もり)づくり支援事業」の展示ブースにも協力しています。当社は、「神奈川の木で家をつくる会」を主宰し、神奈川県産木材を積極的に使った「地産地消」の家づくりを行っていますので、この展示をお手伝いするのは使命だったと思います。

そこで展示されるのは、木造住宅の軸組模型(じくぐみもけい=構造模型)です。

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モデルになったのは、昨年の秋に当社で建てた住宅です。
総2階建てでは変化に乏しく、大き過ぎると製作するのも運搬するのも大変になるため、2方向に下屋が取り付いたバランスの良い形で、尚且つ、大きさも比較的小ぶりなこの家が選ばれました。

写真では大きさが分かりにくいと思いますが、1/10の縮尺で製作したので相当な大きさになっています。東西に約10m、南北に約9mあるので、建物だけで100cm×90cmぐらいの大きさになり、さらに屋根が四方に約1mずつ出ているため、台にしている杉パネルの大きさは125cm×110cmにもなりました。

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土台、柱、胴差、梁、桁、母屋、棟木、垂木、間柱、筋交といった部材が、縮尺1/10で忠実に再現されています。部材の切り出しや加工から組み立てに至るまで、実に丁寧な仕事がされていますが、それもそのはず、この模型を製作したのは当社の専属大工なのです。大きな家を造るのも神経を使いますが、小さな模型を造るのも骨が折れたことと思います。

併せて、この家を紹介するパネルを製作するため、写真家の山田新治郎さんに住宅の撮影をしてもらいました。

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板塀と生垣を織り交ぜることで、道路からの視線を遮りながらも、近隣や歩行者に対して閉鎖的になり過ぎない外構計画です。角地で2面に開放されているため、境界を曖昧にしている効果も大きく、道行く人が立ち止まったり、「いい家ですね」と声を掛けてくれるそうです。

室内は当社のスタンダードな造りです。構造をできるだけ素直に現わした真壁造りで、木と漆喰のコントラストが美しい木組みの空間になっています。

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「書斎で夜明けを迎える家」と命名したこの家の[計画概要]を紹介します。

東と南で接道し、広さも比較的余裕のある敷地ですが 、建物をL字型にして敷地の北西に寄せることで、住宅密集地にもかかわらず、日当たりと生活空間の落ち着きを両立させています。
華道を嗜んでいた奥様は、床の間、襖紙、エアコンを隠す格子戸など、和室の意匠にも気を配りました。また、ご夫婦ともに自宅でのデスクワークが多いため、LDをコンパクトにして、2階東南角に共用の書斎を造りました。早起きのご主人は、ここで机に向かいながら夜明けを迎えます。

撮影で半年ぶりにお伺いしたのですが、お花や絵を飾るなどして、とても綺麗に住まわれていました。住み心地をお聞きすると、「リビングからお庭を見ている時が幸せ。冬も寒くなくて本当に満足」とのお返事。私も幸せな気持ちになったことは言うまでもありません。

岸 未希亜

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