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2015.04.06 / よもやま話

中山道から名湯へ

先週、子供の春休みに合わせて小旅行をして来ました。
初めは九州に行こうか、四国にしようか等、結構な遠出も考えていたのですが、岐阜県の早川工務店から「建て主と現場打合せをしてほしい」という電話が入ったので、あっさり行き先を岐阜方面に変更。予算が抑えられて助かりました(笑)

現在、アースデザインオフィスでは3つのプロジェクトが進行中で、その1つが岐阜県多治見市で建築中の住宅です。

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1階部分の外壁を板張りにした外観や、玄関ポーチとサイクルポートをつなぐ渡り廊下が印象的な姿をしています。建物は6月末ぐらいに完成予定なので、その頃に続きを報告します。

さて、普段の岐阜出張には新幹線を利用しますが、今回は家族4人での移動なので車にしました。先月、圏央道と新湘南バイパスが繋がったので、藤沢ICから茅ヶ崎JCT、海老名JCTを経て中央道の八王子JCTまでノンストップで30分余り。昔(学生時代)、この辺りから中央道に乗る時は、国道412号で相模湖ICを目指しましたが、時間も疲労度も雲泥の差です。

最初に訪れたのは、桜の名所100選にも選ばれている高遠城址公園です。4/1~30にさくら祭りが開かれ、4月中旬が見頃ということは知っていましたが、藤沢や東京は3月末時点で桜が満開になっていたので、少し早いとは思いながらも行ってみました。

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ところが、明後日から始まる祭りの準備は万事整っている様子ですが、肝心の桜は一輪も咲いていないではありませんか・・・言葉もありません(苦笑)
家族の冷たい視線を感じた私は、家族を車に残して一人で城址公園を歩きました。ガイドブック等の写真を見ると、広い渓谷に花が咲き乱れているイメージでしたが、本丸、二の丸といった城内を歩くようになっていて、思ったよりも狭いスペースに桜が密生していることが分かりました。

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来週ぐらいには桜も見頃を迎え、大勢の花見客が訪れるものと思います。もう一度出直せるものなら、満開の桜を見たいなあ・・・

次に訪れたのは、中山道の宿場町である「奈良井(ならい)」です。

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町並みの詳細については日を改めて紹介する予定なので、ここでは簡潔に触れるに止めますが、奈良井は重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建地区)で、その見どころは全長1kmにも及ぶ長大な町並みです。私が今まで訪れたことのある町並みの中でも、岐阜県恵那市の「岩村」に次ぐ長さで、実に見応えがあるのですが、観光客は少なく写真を撮るには絶好です。
そうは言っても写真を撮るだけでは町は潤わないので、喫茶店でお茶をしたり、傘や箸、手焼き煎餅を買ったりして、主に妻がお金を落として来ました(笑)

次の目的地に向かう途中、木曽川に架かる桃介橋(ももすけばし)を見ました。

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水力発電開発のために造られた吊り橋は、全長247mもある日本でも最大級の木橋で、近代化遺産として重要文化財に指定されています。橋には純粋な構造美があるので、建築とは違った魅力を感じます。

その次に訪れたのも、中山道の宿場町「妻籠(つまご)」です。

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ここも簡潔に触れるに止めますが、妻籠は地域ぐるみで町並み保存に力を注ぎ、過疎の村を住民運動で甦らせた先駆的な存在です。以前のブログでも書きましたが、昭和51年、最初に重伝建地区に選定された町並みは北から順に、角館(秋田県)、妻籠(長野県)、白川村荻町(岐阜県)、東山の産寧坂(京都府)、祇園新橋(京都府)、萩・堀内地区(山口県)、萩・平安古地区(山口県)と7つありました。重伝建地区の制度をつくる重要なキッカケにもなった妻籠は、町並み界の「老舗」と呼べる存在なのです。
私は今回で3回目なのですが、ここはいつも観光客が多く、写真を撮るのには苦労します(笑)

最後に訪れたのも、またまた中山道の宿場町「馬籠(まごめ)」です。

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子供たちは流石にもう飽きていますので、DVDを見ている家族を車に残して、一人で町並みを駆け回りました(笑)
ここは高低差の大きな宿場町で、かなり急な坂道の両側に家が建ち並んでいます。坂を下っていくと景色の変化が大きいので、歩いていても楽しい町並みですが、今日は駆け足で下まで降りて再び坂を駆け登ったので、息が上がってしまいました。
馬籠は島崎藤村の生誕地でもあるので、本陣跡(藤村の生家)に藤村記念館が建っています。藤村は「夜明け前」を始めとする多くの作品に「馬籠」を登場させているので、藤村文学の故郷としても一度は訪れたい場所ではないでしょうか。

実は、奈良井、妻籠、馬籠とも過去に一度は来たことがあるのですが、何れもフィルムカメラの時代だったのでデジタルデータがありません。今回、家族旅行にかこつけて再訪した次第です(笑)

初日は健康施設の隣にあるホテルに泊まり、2日目は子供たちのために、健康施設の室内プールで遊びました。そして天然温泉で温まってから、次の目的地である「下呂(げろ)」へ移動です。

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下呂温泉は、草津温泉(群馬)、有馬温泉(兵庫)とともに日本三名泉に数えられます。日本三名泉とは、室町時代の詩僧・万里集九が応仁の乱を避けて全国を旅した後、詩文集「梅花無尽蔵」に、これら3つの温泉を書き残したことに始まります。江戸初期の儒学者・林羅山も自らの紀行文の中で「諸国多くの温泉の中で有馬、草津、湯島(下呂)の三ヶ所がすぐれている」と記しました。明治時代の温泉番付を見ると、最高位である東の大関が草津、西の大関が有馬で、僻地にある下呂は前頭クラスの扱いなのですが、その下呂温泉が今日まで発展してきたのも、「日本三名泉」と呼ばれたことが大きかったようです。

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下呂の町は山に挟まれた飛騨川沿いにひっそりと佇み、電車や車の無い時代、ここを訪れるのは大変だったことが想像できます。岐阜県には縁のある私でも、下呂を訪れたのは今回が初めてでした。
湯めぐり手形(1300円/有効6ヶ月)を買うと、加盟旅館の温泉に3軒まで入浴することができるほか、無料で入れる足湯が市内に8ヶ所あります。

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私たちは町の中心から外れた旅館に泊まったので、足湯に入ったり、手短に温泉街を散策しただけですが、日が暮れると、温泉をハシゴする浴衣姿が多く見られるようです。
ちなみに泊まったのは「神明山荘」という、食事にこだわる料理旅館でしたが、子供(小学生)用の夕食までがこんなに豪華でびっくり!

gero5.jpg 飛騨牛の鉄板焼きまでありました

ところで、観光経済新聞が主催する「にっぽんの温泉100選」というのをごご存知ですか?
2014年度(第28回)の総合ランキングで「下呂」は第3位を獲得しています。ここ10年以上は安定して一桁台の順位が続き、遂に過去最高の3位に到達しました。ちなみに「草津」が12年連続の第1位。第2位は大分の「湯布院」で、ここ12年のうち2位が5回、3位が6回という驚異的な安定感です。そして第4位が「別府」、第5位が「有馬」となっています。興味のある人は、このランキングを検索してみてください。

3日目は私が多治見で仕事をしている間に、家族は「こども陶器博物館」に行きました。岐阜県東部の土岐市や多治見市は「美濃焼」の産地なのですが、この地域は日本最大の陶磁器生産拠点として、日本の和洋食器の約半分を作っているそうです。
博物館では、無地の皿や茶碗に絵付け体験ができるということで、仕事を終えて私が合流した時もまだ、妻と長女は熱心に絵を描いていました。

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博物館の外では桜が満開に咲いていて綺麗でしたが、2日前の高遠城址公園での悪夢が甦ってきました(笑)

岸 未希亜

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